災害への備えと聞いて、まず思い浮かぶのが「非常食」ではないでしょうか。
地震や大雨、台風、大雪などによって、スーパーやコンビニに商品が届かなくなったり、停電や断水が発生したりすると、普段どおりの生活を続けることが難しくなります。そのため、食料を家庭に備えておくことは、とても大切な防災対策です。
しかし、ここで一度考えてみましょう。
「非常食があれば、それだけで災害に備えたことになるのでしょうか?」
実は、災害時に必要になるのは食べ物だけではありません。いざというときに困らないためには、食料以外の備えについても考えておく必要があります。

■ 食べ物と同じくらい「水」が大切
非常食を準備するとき、忘れてはいけないのが飲料水です。
災害によって断水すると、飲み水だけでなく、調理や衛生管理にも困ることになります。せっかく非常食を用意していても、水がなければ調理できない食品もあります。
そこで、非常食と一緒に飲料水も備蓄しておきましょう。
一般的には、飲料水として一人当たり1日3リットル程度を目安に、最低3日分、できれば1週間程度を想定して備えておくと安心です。
家族の人数を確認し、「わが家には何リットル必要なのか」を具体的な数字にしてみると、備蓄量が分かりやすくなります。
■ 「トイレ」は後回しにしない
災害時に意外と大きな問題になるのがトイレです。
停電や断水、排水設備の損傷などによって、水洗トイレが使えなくなる可能性があります。
食事は多少我慢できても、トイレを我慢し続けることはできません。トイレが使えないことを理由に、水分を控えてしまえば、健康面にも悪影響を及ぼすおそれがあります。
そのため、非常用トイレや凝固剤、汚物を入れるための袋などを準備しておきましょう。
「食料は準備したけれど、トイレは考えていなかった」ということがないようにしたいものです。
■ 電気が使えないことも想定する
災害時には停電も想定しておく必要があります。
懐中電灯やランタン、乾電池、モバイルバッテリーなどを準備しておきましょう。
スマートフォンは、家族との連絡や災害情報の確認に役立つ重要な道具です。しかし、充電が切れてしまえば使えません。モバイルバッテリーなどを用意し、定期的に充電状態を確認しておくことが大切です。
また、夜間に停電した場合、真っ暗な中で懐中電灯を探すのは大変です。すぐ手に取れる場所に置いておきましょう。
■ 「清潔を保つ」ための備えも重要
災害時には、水が自由に使えなくなる可能性があります。
ウェットティッシュ、手指消毒用品、簡易トイレ、ゴミ袋、ラップ、タオル、歯磨き用品など、衛生を保つための用品も準備しておきたいところです。
特にゴミ袋は、ゴミを入れるだけでなく、さまざまな用途に使える便利な防災用品です。
また、乳幼児、高齢者、持病のある方など、家族によって必要なものは異なります。紙おむつ、介護用品、常備薬、眼鏡など、「その人にとって無いと困るもの」も忘れずに準備しておきましょう。
■ 防災は「モノ」だけではありません
防災というと、備蓄品を揃えることばかりに目が向きがちです。しかし、家族で「災害が起きたらどうするか」を話し合っておくことも重要な備えです。
自宅周辺の避難場所はどこなのか。家族が別々の場所にいるときは、どこで集合するのか。連絡が取れない場合はどうするのか。
ハザードマップを確認し、自宅周辺の洪水や土砂災害などの危険性を知っておくことも大切です。
さらに、災害時には誤った情報が広がることもあります。SNSだけに頼らず、自治体や気象庁など、信頼できる情報源から最新情報を確認する習慣も身につけておきましょう。

■ 「食べる」から「暮らす」ための備えへ
非常食は、災害への備えとして欠かせません。しかし、災害時に必要なのは食料だけではありません。
水、トイレ、明かり、電源、衛生用品、医薬品、情報、そして家族との連絡方法。
こうしたものを一つずつ確認していくことで、災害時の生活をより現実的にイメージできます。
「非常食を買ったから安心」ではなく、「災害が起きても、家族が数日間どう暮らすか」を考えてみましょう。
防災の基本は、特別なことを一度に完璧にすることではありません。
今日、非常食を確認したら、明日は水。その次はトイレ。
できることから一つずつ備えていくことが、いざというときの大きな安心につながります。
災害への備え、非常食だけで大丈夫ですか?
「食べるための備え」から「暮らし続けるための備え」へ。今日から防災を一歩進めてみませんか。


