災害への備えと聞くと、非常食や飲料水の備蓄、避難場所の確認、防災用品の準備などを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。もちろん、こうした防災対策は、災害から命を守るために欠かせないものです。
しかし、災害への備えは、それだけで十分でしょうか。
台風によって屋根が壊れたり、大雨で床上浸水したり、大雪で雨どいやカーポートが損傷したりすれば、住まいの修理に多額の費用がかかることがあります。避難生活が終わっても、壊れた家や失われた家財の問題は残ります。災害から暮らしを立て直すためには、命を守る防災対策に加えて、経済的な備えも必要なのです。
そこで重要になるのが「保険」です。

■ 命を守る防災、暮らしを支える保険
防災の基本は、災害が起きる前に危険を減らし、発生時には安全な行動を取ることです。ハザードマップで自宅周辺の危険性を確認し、避難経路や避難場所を家族で共有する。家具の転倒防止や非常持ち出し袋の準備を行い、日頃から家の状態を点検する。こうした行動が、被害を防いだり、小さくしたりすることにつながります。
一方、どれだけ準備をしていても、自然災害による被害を完全に防ぐことはできません。想定を超える強風や大雨、突然の落雷などによって、住宅が損傷する可能性があります。
そのようなとき、被災後の修理や生活再建を経済面から支える役割を担うのが保険です。防災対策が「被害を防ぐ・減らすための備え」なら、保険は「被害を受けた後の負担に備える仕組み」といえるでしょう。
■ 火災保険で、どこまで備えられる?
火災保険は、火事だけを対象とするものではありません。契約内容によっては、台風などによる風災、大雪による雪災、落雷、水災などの損害も補償対象となります。
ただし、すべての契約で同じ補償が受けられるわけではありません。水災補償が付いていない場合や、建物は補償対象でも家具・家電などの家財は対象外となっている場合もあります。また、地震・噴火・津波による損害は、原則として通常の火災保険では補償されず、地震保険による備えが必要です。
大切なのは、「保険に入っているから安心」と思い込まないことです。保険証券を確認し、風災・雪災・水災などの補償の有無、建物と家財の補償範囲、保険金額、自己負担額などを把握しておきましょう。分からない点は、保険会社や代理店に相談することをおすすめします。
■ 災害が起きた後の行動も備えの一つ
実際に被害が発生した場合は、まず自分や家族の安全を確保してください。その後、安全にできる範囲で被害状況を写真に記録し、保険会社や代理店へ連絡して、必要な手続きについて確認しましょう。
屋根や外壁などが損傷している場合、危険な場所へ自分で登って確認するのは避けてください。また、「保険金を使えば必ず無料で修理できる」といった勧誘にも注意が必要です。保険金の支払いは契約内容や損害の状況などによって判断されるため、修理契約を急ぐ前に保険会社などへ相談しましょう。

■ 防災と保険、二つの備えで安心を
災害対策というと、避難訓練や防災用品の準備に意識が向きがちです。しかし、被災後の生活まで考えるなら、住まいの点検と保険の確認も欠かせません。
災害が起きてからでは、必要な補償が付いていなかったとしても、過去の被害にさかのぼって補償を追加することはできません。だからこそ、何も起きていない今のうちに、家族で防災について話し合い、火災保険の契約内容を確認しておくことが大切です。
防災で命を守り、保険で暮らしの再建に備える。二つの備えを整えることが、災害に負けない住まいづくりにつながります。


