台風、大雨、洪水、土砂災害、落雷、大雪――。
自然災害によって自宅が被害を受けたとき、多くの人が「早く元の生活に戻したい」と考えます。壊れた屋根を直したい。雨漏りを止めたい。濡れた家具を片付けたい。
もちろん、生活を取り戻すための修理や片付けは大切です。
しかし、災害直後には、保険金の請求を考えるうえでも、やっておきたいことがあります。
それは、「安全を確保する」「被害を記録する」「保険会社へ連絡する」という基本的な流れです。

まずは命の安全を最優先
災害が発生した直後、最も大切なのは保険ではありません。
自分と家族の命です。
大雨の後は土砂災害の危険が残っていることがあります。台風の後は屋根材や看板などが落下する可能性もあります。
「屋根が壊れているから確認しよう」と無理に屋根へ上がるのは非常に危険です。
まず避難が必要なら避難する。危険な場所には近づかない。
安全を確保してから、次の行動に移りましょう。
①被害状況を写真・動画で残す
安全が確認できたら、できる範囲で被害状況を記録します。
ここで大切なのは、修理や片付けを始める前の状態を残すことです。
例えば、
・住宅全体の状態
・屋根や瓦の破損
・外壁のひび割れや損傷
・雨どいの破損
・窓ガラスの破損
・室内の雨漏り
・浸水した場所や高さ
・壊れた家具や家電
などを撮影しておきましょう。
被害箇所だけをアップで撮るのではなく、まず建物全体を撮影し、その後に被害箇所を近くから撮影すると、どこにどのような損害があるのか分かりやすくなります。
ただし、撮影のために危険な場所へ入る必要はありません。
「写真を撮ること」より「命を守ること」が優先です。
②被害の状況をメモする
写真と一緒に、被害が発生した日時や状況をメモしておくとよいでしょう。
例えば、
「○月○日の台風通過後、屋根瓦の破損を確認」
「大雨の後、1階に浸水跡を確認」
「強風後、雨どいが外れていることを確認」
などです。
写真だけでは分からない「いつ」「何が起きたのか」を記録しておくことで、後から被害状況を整理しやすくなります。
③保険証券や契約内容を確認する
次に確認したいのが、自分の火災保険です。
「火災保険だから火事だけ」と思っている方もいるかもしれませんが、契約内容によっては、台風などによる風災、落雷、雪災、水災などが補償対象となる場合があります。
一方で、すべての契約に同じ補償が付いているわけではありません。
「台風だから必ず補償される」
「大雨だから必ず保険金が出る」
とは限りません。
保険証券や契約内容を確認し、分からない場合は保険会社や代理店へ問い合わせましょう。
④保険会社へ早めに連絡する
被害状況を確認したら、加入している保険会社や代理店へ連絡します。
その際、
「いつ、どのような災害が起きたのか」
「どこが、どの程度壊れたのか」
「写真を撮ってあるか」
「応急処置や修理が必要な状態か」
などを伝えましょう。
保険会社から、必要な書類や今後の手続きについて案内を受けられます。
災害直後は問い合わせが集中することもありますので、できるだけ早めに連絡しておくと安心です。
⑤必要な応急処置は我慢しない
「保険会社の確認が終わるまで、何もしてはいけない」と考える必要はありません。
例えば、屋根が壊れて雨が入り続けている場合など、被害が拡大するおそれがあれば、応急処置が必要になることがあります。
安全を確保しながら、被害拡大を防ぐために必要な対応を行いましょう。
その場合も、修理前の写真を残す、修理内容や費用の記録を保管するなど、できる範囲で記録を残しておくことが大切です。
⑥修理契約は焦らない
災害後には、「火災保険を使えば無料で修理できます」などと勧誘してくる業者が現れることがあります。
しかし、保険金が支払われるかどうかは、契約内容や被害状況などを踏まえて保険会社が判断します。
「保険で直せると言われたから大丈夫」と思い込み、急いで高額な修理契約を結んでしまうのは避けましょう。
まずは保険会社や代理店に相談し、修理業者から提示された見積書や契約内容も、落ち着いて確認しましょう。
災害直後の「5つの行動」
いざというときに慌てないため、次の5つを覚えておきましょう。
①安全を確保する
↓
②被害を写真・動画で記録する
↓
③被害状況をメモする
↓
④保険会社・代理店へ連絡する
↓
⑤必要な応急処置と修理を進める
この順番を知っているだけでも、災害後の行動が変わります。

「保険金をもらうため」だけではない
被害写真や記録を残すことは、単に保険金を請求するためだけではありません。
どこが壊れたのか、どの程度の被害だったのかを家族や修理業者、保険会社と共有するためにも役立ちます。
そして何より、災害直後は気持ちが動揺しています。
「何から始めればいいのか分からない」という状況になりやすいからこそ、普段から行動の順番を知っておくことが大切なのです。
災害は突然やってきます。
だからこそ、平常時から火災保険の補償内容を確認し、保険証券や保険会社の連絡先を分かる場所に保管しておきましょう。
そして、いざ被災したときには、
「まず安全。次に記録。そして保険会社へ相談。」
この基本を忘れないようにしましょう。
保険は、災害そのものを防いでくれるものではありません。
しかし、被災した後の暮らしを立て直すための大切な支えになる可能性があります。
災害が起きてから慌てないために、今のうちから「災害直後にやるべきこと」を知っておく。
それもまた、大切な防災の一つです。


