住宅が密集する日本では、隣家火災による延焼リスクは非常に現実的な災害の一つです。特に木造住宅が多い地域や、強風・乾燥が重なる状況では、火は想像以上の速さで広がります。ここでは、隣家火災の延焼が起こる仕組み、実際に高まるリスク、そして被害を最小限に抑えるための予防策と対処策を詳しく解説します。

隣家火災による延焼はなぜ起こるのか
火災は「炎」だけで広がるわけではありません。延焼の主な要因は以下の通りです。
まず輻射熱です。燃えている家屋から発せられる強い熱が、隣家の外壁や窓、軒天を加熱し、着火点に達すると火が出ます。特に古い木造住宅や断熱性能が低い建物は影響を受けやすくなります。
次に**火の粉(飛び火)**です。屋根材や燃えた木片が強風にあおられ、数十メートル先まで飛び、ベランダや屋根に落ちて出火します。阪神・淡路大震災や大規模市街地火災でも、延焼拡大の大きな原因となりました。
さらに、住宅密集地では建物間隔の狭さが問題です。建築基準法上は適法でも、実際には延焼を防ぐ余裕がない場合が多く、火災が連鎖しやすい構造となっています。
延焼リスクが高まる条件
隣家火災の延焼リスクは、以下の条件で特に高まります。
・木造住宅が密集している
・築年数が古く、防火性能が低い
・ベランダや外壁に可燃物が多い
・強風時(台風・フェーン現象)
・冬場の乾燥した気候
これらが重なると、初期消火が難しくなり、あっという間に周囲へ燃え広がります。
延焼を防ぐための予防策
① 建物の防火性能を高める
外壁を防火・準防火仕様にする、屋根材を不燃材にする、軒天を防火材にするなど、住宅自体の性能向上が最も効果的です。窓は網入りガラスやシャッターの設置が有効です。
② 可燃物を屋外に置かない
ベランダや庭に、段ボール、古新聞、プラスチック製品、灯油タンクなどを放置しないことが重要です。飛び火の着火点になりやすい場所を減らします。
③ 近隣との情報共有
近所で火災が発生した場合、早期に気づき避難するため、地域の見守りや声かけが重要です。日頃から顔の見える関係を作っておくことが防災力を高めます。
隣家火災が発生した場合の対処策
① 迷わず避難を最優先
「まだ大丈夫」と判断して様子を見るのは危険です。煙や熱を感じたら、初期消火にこだわらず速やかに避難します。
② 窓・換気口を閉める
避難前に可能であれば、窓や換気扇を閉め、シャッターを下ろすことで、火の粉や煙の侵入を減らせます。
③ 初期消火は安全第一で
自宅に火が移り始めた初期段階であれば消火器を使用しますが、炎が天井に達している場合は即避難します。
「もらい火」への備えも重要
隣家火災による被害は、いわゆる**「もらい火」**です。火元でなくても、延焼被害は火災保険の対象外になる場合もあり、失火責任法によって賠償請求が難しいケースもあります。そのため、自宅の火災保険内容を確認し、類焼損害補償特約などの検討も重要です。

延焼は「防げる二次災害」
隣家火災の延焼は、完全には防げなくても、被害を小さくすることは可能です。住宅の防火対策、屋外環境の整理、早めの避難判断。これらを日常から意識することが、自分と家族、そして地域を守ることにつながります。


