高層マンションでは、地震・停電・火災などの災害時に**「高層階から避難できない」**という深刻な問題が発生します。エレベーター停止、階段の長距離移動、体力低下者の存在などが重なり、避難そのものが命のリスクになる場合もあります。ここでは、高層階特有の避難困難の実態と、事前の備え、発災時の具体的な対処策について詳しく解説します。

高層階で避難が困難になる主な理由
高層階の避難困難は、複数の要因が重なって起こります。
・地震時のエレベーター自動停止
・停電の長期化による復旧遅延
・高齢者・障害者・妊婦など階段移動が困難な住民
・煙や余震による階段利用の危険性
・一斉避難による階段の混雑
特に地震直後は、エレベーターは安全確認が終わるまで再稼働せず、数時間から数日使えないケースもあります。
「無理に避難しない」という判断も重要
高層階では、必ずしもすぐに外へ逃げることが最善とは限りません。
建物の倒壊や火災の危険が低い場合、**自宅待機(在宅避難)**が最も安全な選択になることがあります。
・構造上の安全が確認されている
・火災や煙が発生していない
・水・食料・電源が確保できている
このような条件が揃っていれば、無理な階段避難は避けるべきです。
事前にできる高層階向けの備え
① 在宅避難を前提とした備蓄
高層階では最低3~7日分の備蓄が必須です。
・飲料水(1人1日3L)
・簡易トイレ
・カセットコンロ・ボンベ
・懐中電灯・モバイルバッテリー
エレベーター停止を想定し、玄関近くに集約して保管します。
② 階段避難を想定した準備
やむを得ず避難する場合に備え、
・両手が空くリュック
・滑りにくい靴
・ヘルメットや帽子
をすぐ使える状態にしておきます。
③ 管理組合・近隣との連携
高層マンションでは、管理組合の防災計画が極めて重要です。
・一時集合場所
・要支援者の把握
・エレベーター復旧情報の共有方法
を事前に確認しておきます。
災害発生時の具体的対処策
① 情報収集を最優先
管理会社、自治体、防災無線、公式SNSなど複数の情報源で状況を把握します。
不確かな噂で行動しないことが重要です。
② 火災時は即時避難
建物内で火災や煙が発生した場合は、ためらわず階段避難します。
エレベーターは絶対に使用しません。
③ 階段避難時の注意
・壁や手すりにつかまりながらゆっくり移動
・荷物は最小限
・体調不良者は無理をしない
途中で休める踊り場を活用し、集団行動を心がけます。
要配慮者がいる場合の対応
高齢者や障害のある方がいる場合、単独での避難は危険です。
事前に
・誰が声をかけるか
・どこまで手伝うか
・避難が無理な場合の在宅支援方法
を決めておくことが命を守ります。
高層階避難の最大の敵は「思い込み」
「とにかく逃げなければ危険」「みんなが動いているから」という思い込みは、事故を招きます。
高層階では、状況を見極めて行動しない勇気が重要です。

まとめ
高層階からの避難困難は、想定外ではなく想定すべき災害リスクです。
在宅避難を基本としつつ、やむを得ない場合の階段避難に備えること、そして住民同士の連携が被害を大きく左右します。
「逃げる」だけでなく「耐える」「支え合う」視点を持つことが、高層マンション防災の要です。


