防災グッズは「備えているだけ」で安心しがちですが、劣化や期限切れによって、いざという時に使えないという問題が少なくありません。実際の災害では、保存食が期限切れだった、乾電池が液漏れしていた、ゴム製品が劣化して使えなかったといった事例が多く報告されています。ここでは、防災グッズの劣化・期限切れが起こる理由と、その具体的な対策について解説します。

まず、防災グッズが劣化・期限切れになる主な理由は、「使用頻度が低い」ことです。防災用品は非常時以外ほとんど使われないため、一度準備するとそのまま何年も放置されがちです。しかし、非常食や飲料水には賞味期限があり、電池や医薬品、ゴム製品にも使用期限や耐用年数があります。放置することで、知らないうちに性能が低下してしまいます。
特に注意が必要なのが非常食と飲料水です。長期保存が可能な製品でも、期限は5年や7年程度が一般的です。期限切れの食品は、味や栄養価が落ちるだけでなく、体調不良を引き起こす可能性もあります。飲料水も同様に、容器の劣化や内容物の品質低下が起こるため、定期的な入れ替えが不可欠です。
次に、電池・充電式機器の劣化も見落とされやすいポイントです。乾電池は長期間保管すると液漏れを起こし、懐中電灯やラジオを故障させることがあります。モバイルバッテリーは、未使用でも内部のリチウムイオン電池が劣化し、容量低下や発熱リスクが高まります。「買ったまま放置」は最も危険な状態と言えます。
また、ゴム・樹脂製品の経年劣化にも注意が必要です。簡易トイレの袋、給水袋、マスク、手袋などは、時間の経過とともに硬化・ひび割れ・破損が起こります。見た目に問題がなくても、実際に使うと破れるケースもあり、災害時には大きなストレスになります。
こうした問題を防ぐために有効なのが、**「ローリングストック法」**です。これは、防災用として特別に保管するのではなく、普段の生活で消費しながら一定量を常に備える方法です。非常食や飲料水を日常的に使い、使った分を買い足すことで、期限切れを防ぎつつ、食べ慣れた物を非常時にも利用できます。
さらに、定期点検の仕組み化が重要です。おすすめなのは、年に1~2回、防災グッズをまとめて点検する日を決めることです。防災の日(9月1日)や、季節の変わり目など、覚えやすい時期にチェックすると習慣化しやすくなります。チェック項目としては、食品の期限、電池の残量、機器の動作確認、破損やカビの有無などを確認します。
管理方法の工夫も効果的です。防災グッズの箱や袋に、期限を書いたメモを貼る、スマートフォンのカレンダーに期限通知を設定するなど、視覚的・仕組み的に忘れにくくすることが重要です。家族がいる場合は、誰が管理するのか役割を決めておくと、点検漏れを防げます。
また、使いながら慣れておくという視点も大切です。簡易トイレや携帯コンロ、防災ラジオなどは、一度も使わないまま本番を迎えると、使い方が分からず混乱します。点検時に実際に使ってみることで、劣化の確認と同時に、使用訓練にもなります。

まとめると、防災グッズの劣化・期限切れ対策として重要なのは、
① 放置しない意識を持つ
② ローリングストックを取り入れる
③ 定期点検を習慣化する
④ 管理を見える化する
⑤ 実際に使って確認する
という点です。
防災グッズは「揃えること」がゴールではなく、「使える状態を保ち続けること」が本当の備えです。日常の中で少しずつ見直すことが、非常時の安心と安全につながります。


