地震によるけがの原因として特に多いのが、家具の転倒・落下とガラスの飛散です。これらは建物が倒壊しなくても発生しやすく、室内にいる人の命や生活を大きく脅かします。しかし、事前に対策を講じることで、被害を大幅に軽減できます。ここでは、家庭や職場で実践できる家具転倒防止とガラス飛散対策について説明します。

まず、家具転倒対策で最も重要なのは家具の固定です。本棚、食器棚、タンスなど背の高い家具は、地震の揺れによって簡単に倒れます。L字金具を使用し、壁の柱や間柱にしっかりと固定することが基本です。石膏ボードのみに取り付けると十分な効果が得られないため、下地の位置を確認してから設置する必要があります。天井と家具の間に設置する突っ張り棒(耐震ポール)や、壁に穴を開けにくい住宅では耐震ベルトも有効で、金具と併用することでより高い効果が期待できます。
次に、家具の配置の見直しが重要です。寝室や子ども部屋にはできるだけ大型家具を置かないようにします。ベッドや布団の頭の上に棚や収納家具を設置することは避けるべきです。万が一固定が外れた場合でも、人が下敷きにならない配置を心掛けます。また、出入口や廊下に家具を置くと、倒れた際に避難経路を塞ぐ恐れがありますので注意が必要です。
さらに、家具の収納内部の工夫も有効です。重い物は下段に収納し、上段には軽い物を置くことで、転倒や落下時の危険を軽減できます。食器棚や収納棚には滑り止めシートや耐震マットを敷き、扉には耐震ラッチを取り付けることで、揺れによる扉の開放や中身の飛び出しを防げます。

次に、ガラス飛散対策について説明します。地震の揺れによって窓ガラスや家具のガラス扉が割れると、鋭利な破片が室内に飛び散り、大きなけがにつながる恐れがあります。最も効果的な対策は、飛散防止フィルムを貼ることです。透明タイプが多く、見た目をほとんど変えずに、割れても破片が飛び散りにくくなります。特に寝室、リビング、出入口付近のガラスには、優先的に施工することをおすすめします。
また、カーテンの活用も簡単で有効な方法です。厚手のカーテンを閉めておくことで、ガラスが割れた場合でも破片の飛散を抑える効果があります。就寝時や外出時には、カーテンを閉める習慣をつけると安心です。家具のガラス部分には、応急的な対策として養生テープを貼る方法もあります。可能であれば、アクリル板や樹脂製の扉へ交換することも検討するとよいでしょう。
最後に、日常的にできる小さな対策も大切です。家具の上に物を置かないようにする、テレビや電子レンジには耐震ジェルマットを使用する、冷蔵庫には転倒防止ベルトを取り付けるといった工夫があります。また、割れたガラスを踏まないように、枕元にスリッパや懐中電灯を置いておくことも重要です。
家具の転倒やガラスの飛散対策は、特別な知識や高額な費用がなくても始められる、命を守る備えです。「起きてから対処する」のではなく、「起きる前に備える」ことが、地震から自分や家族を守るための重要なポイントです。


