地震や台風、突風、豪雪などの災害時には、屋根瓦の落下が深刻な二次被害を引き起こします。瓦は一枚一枚が重く、高所から落下すると致命傷になりかねません。阪神・淡路大震災や能登半島地震でも、落下した瓦による負傷や家屋被害が多く報告されました。ここでは、屋根瓦が落下した際の対処法と、被害を最小限に抑えるための考え方を中心に解説します。

屋根瓦落下時の基本的な対処法
① 絶対に近づかない・見上げない
地震や強風直後は、屋根瓦が「落ちきっていない」状態で残っていることが多く、余震や風で再び落下する危険があります。落ちた瓦の回収や屋根の確認をすぐに行うのは非常に危険です。屋根の真下や軒先からは速やかに離れ、見上げる行為も避けましょう。
② 頭部を守り安全な場所へ移動
屋外にいる場合は、バッグや上着、腕などで頭部を保護し、建物の軒下やブロック塀の近くから離れ、できるだけ開けた場所へ移動します。ヘルメットや防災頭巾があれば着用します。
③ 負傷者が出た場合の対応
瓦が当たり負傷した場合、頭部や首への衝撃は特に危険です。出血がある場合は圧迫止血を行い、意識障害、吐き気、激しい痛みがある場合は無理に動かさず、救助を待ちます。瓦の破片による切り傷も多いため、靴や手袋なしで瓦に触れないようにします。
④ 室内にいる場合の注意
瓦が落下すると屋根が破損し、雨漏りやガラス破損が起こることがあります。天井から異音がする場合は、その下に立たず、別の部屋へ移動します。ブルーシート等での応急処置は、安全が確認されるまで行わないことが重要です。
屋根瓦落下後の行動と応急対応
① 二次災害の防止
落下した瓦は鋭利で滑りやすく、踏むと転倒や切り傷の原因になります。瓦の周囲には近づかず、立ち入り禁止の目印を設けます。特に子どもや高齢者が近づかないよう注意喚起が必要です。
② 専門業者への連絡
屋根の点検や修理は、必ず屋根工事や瓦工事の専門業者に依頼します。被災直後は悪質な訪問業者が現れることもあるため、「無料点検」「今すぐ直さないと危険」といった勧誘には慎重に対応します。
③ 被害状況の記録
安全な距離から、屋根や落下瓦の状況を写真で記録しておくと、保険申請や公的支援の際に役立ちます。ただし、無理な撮影は避けます。
屋根瓦落下を想定した日頃の備え
① 地震・風に強い屋根への対策
古い瓦屋根は、釘止めが不十分な場合があります。
・瓦の耐震・耐風固定
・軽量瓦や金属屋根への葺き替え
などは、落下防止に非常に効果的です。
② 定期点検の重要性
屋根は普段見えにくいため、定期的な点検が不可欠です。台風や大雪の後には特に注意し、ズレや割れを早期に発見することが重要です。
③ 行動面での意識
地震時は、揺れが収まってもすぐ屋外に飛び出さないことが重要です。落下物がある時間帯は非常に危険であり、建物内外の安全確認を優先します。

「上からの危険」を意識することが命を守る
屋根瓦の落下は、目に見えない「上からの凶器」です。早く片付けたい、確認したいという気持ちが事故を招くこともあります。
「近づかない」「見上げない」「専門家に任せる」――この三原則を守ることが、屋根瓦落下時の最も重要な対処法です。日頃から屋根の安全に目を向けることが、災害時の重大事故を防ぐ確かな備えとなるでしょう。


