災害写真・動画は、撮影すること自体よりも**「どう保管し、どう伝えるか」によって価値が大きく変わります。SNSは即時性という強みがある一方、情報の流失・誤解・デマ拡散のリスクも高く、「万能な手段」ではありません。ここでは、災害写真・動画を確実に残し、必要な相手に正しく伝えるための考え方と具体策**を整理します。

災害写真・動画の適切な保管方法
① データは「分散して保管」する
災害時は端末の破損、紛失、電池切れが起こりやすいため、一か所保存は非常に危険です。
基本は次の三点を意識します。
- スマートフォン本体
- クラウド(自動バックアップ設定)
- 外部媒体(USBメモリ、SDカード、外付けHDD)
特にクラウドは、端末が壊れてもデータが残るため有効です。ただし通信が不安定な場合に備え、後日アップロードできる体制も重要です。
② 撮影情報(メタデータ)を消さない
写真・動画には、撮影日時や位置情報が含まれています。これらは被害認定や検証において極めて重要です。
SNS投稿用に編集する場合でも、元データは必ず未加工のまま保存してください。
③ 整理と簡易メモを残す
後から見返した際に状況が分かるよう、
- 「〇月〇日〇時ごろ」
- 「自宅北側道路の冠水」
- 「避難開始直前の様子」
など、短いメモを別ファイルや紙で残すことが望ましいです。記憶は時間とともに曖昧になります。
誰に、何のために伝えるかを明確にする
写真・動画は「広く拡散」よりも、目的別に届け先を選ぶことが重要です。
① 行政・公的機関への伝達
被害報告や支援要請には、
- 市町村窓口
- 災害対策本部
- 罹災証明申請時
など、公式ルートを使うのが最優先です。最近は自治体の専用フォームやメール添付での提出が増えています。SNSよりも、記録性と信頼性が高く、後の手続きに確実につながります。
② 家族・関係者への共有
安否確認や状況説明には、
- SMS
- メール
- 災害用伝言サービス
が有効です。写真は枚数を絞り、「今は安全」「避難中」など言葉を添えて送ることで、誤解や過度な心配を防げます。
③ 報道・研究・防災教育への提供
社会的に価値のある映像は、
- 報道機関
- 大学・研究機関
- 自治体のアーカイブ事業
に提供することで、記録として長く活用されます。この場合も、SNSに先に流すより、直接連絡する方が適切なケースが多くあります。
SNSを使う場合の注意点
SNSは即時性がある反面、次のリスクがあります。
- 情報の切り取り・誤解
- デマとの混同
- 被災者への誹謗中傷
- 位置情報によるプライバシー侵害
もし使う場合は、
- 撮影日時・場所を明記
- 推測や感情的表現を避ける
- 個人が特定される映像は投稿しない
といった最低限のルールを守る必要があります。

「伝えない」という判断も大切
すべての写真・動画を公開する必要はありません。
被災者の尊厳を傷つける可能性があるもの、誤解を招く恐れがあるものは、記録として保管し、必要な時にだけ提供するという選択も、責任ある行動です。
災害写真・動画は、「拡散するための素材」ではなく、正確に残し、正しく使うための記録です。
SNSに頼り切らず、目的に応じた保管と伝達を意識することが、命と記憶を守る最善の方法と言えるでしょう。


