大規模災害が発生すると、テレビ、ラジオ、インターネット、SNSなどから大量の情報が一気に流れ込み、「情報が多すぎて、何を信じればよいのか分からない」という状態に陥りがちです。たとえ情報自体が正しくても、優先順位を誤ると避難や行動判断を誤る危険があります。ここでは、情報過多の中で冷静に判断するための対処策を具体的に解説します。

まず大切なのは、情報を目的別に整理する意識を持つことです。災害時の情報には、「命を守る情報」「生活に関する情報」「参考情報」が混在しています。命に直結するのは、避難指示、警報、ライフラインの停止、危険区域の情報です。これらは最優先で確認し、その他の被害状況や体験談、分析的な情報は、落ち着いてから確認すればよいものと割り切ることが重要です。
次に、信頼する情報源をあらかじめ決めておくことが有効です。大規模災害時にまず確認すべきなのは、自治体の公式発表、気象庁、消防・警察、国や都道府県の防災情報です。テレビやラジオの緊急放送も重要な情報源になります。SNSは即時性に優れますが、補助的な手段と考え、公式機関の情報と一致しているかを確認してから判断材料にします。
三つ目は、情報の「新しさ」と「対象範囲」を確認することです。正しい情報であっても、数時間前の情報が現在の状況に合っていない場合があります。また、他地域の情報を自分の地域のものと誤解してしまうケースも多く見られます。「いつの情報か」「どこの話か」を必ず確認し、自分に関係するかどうかを見極める習慣をつけましょう。
四つ目として、一度に大量の情報を追いすぎないことも大切です。情報を追い続けることで不安が増幅し、判断力が低下することがあります。一定時間ごとに情報を確認するなど、意識的に情報から距離を置くことで、冷静さを保ちやすくなります。特に夜間や避難中は、最低限の必要情報に絞ることが重要です。
五つ目は、判断基準を事前に決めておくことです。例えば、「避難指示が出たら迷わず避難する」「警戒レベル4で行動を開始する」など、平常時にルールを決めておくことで、情報が錯綜していても迷いにくくなります。これは個人だけでなく、家族全員で共有しておくことが望ましいです。
さらに、周囲との情報共有の仕方にも注意が必要です。家族や近隣住民と話し合う際は、感想や推測ではなく、確認できた事実を共有するようにします。「〜らしい」「〜かもしれない」という表現は混乱を招くため避けることが大切です。地域の防災組織や自治会からの情報も、有力な判断材料になります。
また、自分の心理状態を把握することも重要です。不安や焦りが強いと、人は断片的な情報に振り回されやすくなります。「情報が多すぎて混乱している」と感じたら、いったん立ち止まり、最も基本的な安全確保(避難、身の安全、連絡手段の確保)に立ち返ることが有効です。
最後に、すべてを把握しようとしない姿勢も必要です。大規模災害時に完璧な情報を得ることは不可能です。「今の時点で信頼できる情報に基づき、最善の行動を取る」という考え方に切り替えることが、混乱を防ぐ鍵となります。

まとめると、情報過多の中で正しく行動するためには、
① 情報を命・生活・参考に分ける
② 信頼する情報源を決める
③ 情報の日時・地域を確認する
④ 情報との距離を意識的に取る
⑤ 行動基準を事前に決めておく
⑥ 事実だけを共有する
⑦ 心理状態を整える
という対処策を意識することが重要です。
これらを実践することで、情報に振り回されず、冷静で安全な判断につながります。


