災害発生時にSNS上でデマ・フェイクニュース・誤情報が拡散することは、大きな社会問題になっています。特に近年はAIで生成された画像・動画(ディープフェイク)も増え、信じやすい形で情報が広まるようになり、現実の救助活動や避難行動に悪影響を与えるケースが増えてきています。ここでは、実際の事例と*対処策(個人/自治体/メディア/企業の視点)*を具体的に紹介します。

災害時に発生した具体的な誤情報の事例
1) 地震・自然災害での虚偽投稿
2024年の能登半島地震の直後、SNSでは
- 海外の別災害や昔の地震映像を、直近の地震と偽って流す投稿
- 救助要請を偽装したアカウントによる寄付詐欺的な投稿
- 「地震は人工で起きた」といった陰謀論情報
といった誤情報が拡散しました。また、実在しない人物・被害状況の投稿も多数確認されています。
2) AI生成の偽動画
最近のハリケーン被害時には、
- プールにサメがいる巨大洪水映像
- 完全に破壊された空港の偽映像
など、AI生成・加工された動画がSNSで何百万回も再生されました。これらは現実の映像に見えますが、専門家が検証するとAI生成であることが判明しています。
3) 過去の噂や都市伝説の再拡散
過去の災害でも、「動物が暴動している」「危険な人物が逃げている」といった虚偽投稿が広まった例があります。これらは事実と異なるにもかかわらず、拡散によって不安を煽り、問い合わせや避難の混乱など二次的被害を生むことがあります。
4) 歴史的なデマの再来
1923年の関東大震災でも、根拠のないうわさや差別を煽るデマが社会的な混乱を助長しました。こうした危険性は過去の災害でも繰り返されてきた歴史があり、SNS時代でも姿を変えて現れています。
なぜ災害時にデマが広がるのか?
災害時は
- 公式な情報が一時的に不足
- 人々の不安や恐怖が高まる
- 他人に「役に立つ情報」を提供したい心理が働く
という要因が重なるため、真偽が確認されないまま情報が拡散されやすくなります。特に若年層ではSNS情報を信じる割合が比較的高く、デマ・フェイク投稿を目撃した経験者も多いという調査があります。
AIによって生成される画像や動画は、見た目が極めてリアルなため、従来の誤情報より見破りにくいという新たな問題も発生しています。
災害時の誤情報が引き起こす深刻な影響
生命・安全への影響
誤った避難情報や救助要請が広がると、本来必要な人が適切に避難できなくなり、命に関わる誤判断を招く可能性があります。
支援・救援活動の混乱
偽情報に基づいた救援の要請や誤った位置情報などが広がると、消防・警察などの活動が妨げられる可能性があります。
不安・パニックの増幅
事実と異なる極端な映像や説明は、被災者や支援者の心理的負担を増やし、社会的不安を助長する危険性があります。
具体的な対処策(災害発生前・発生中・発生後)
個人・一般ユーザーとしてできること
情報の出所を確認する
政府公式、自治体、気象庁、消防・警察などの公式SNSやHPを優先すること。
本人アカウント名や公式タグを確認してから拡散する習慣をつけます。
疑わしい投稿は拡散しない
真偽が分からない情報やセンセーショナルな投稿は、いったん止めて確認することが重要です。
SNS以外の情報手段も確保
ラジオ、自治体の緊急メール、テレビなど複数の情報源を持つことで、SNS偏重を避けることができます。
自治体・公的機関の取り組み
公式アカウントの強化と早期発信
災害発生直後から正確な情報を速やかに発信することで、情報の空白を埋め、偽情報の入り込む余地を減らします。
AI・自動検出ツールの活用
プラットフォーム上でAIを使ったフェイク検出を導入し、リアルタイムで危険な投稿を識別・ラベル付けする取り組みも進んでいます。
メディア・プラットフォーム側の役割
ファクトチェックの推進
メディアは誤情報を迅速に検証し、正しい情報を広く伝えることが重要です。
プラットフォームポリシーの強化
SNS企業は、誤情報に対してラベル付けや削除などの方針を強化し、悪意ある投稿の拡散を制限する必要があります。
各国政府や専門機関が企業と協力して信頼性の確保に取り組んでいます。

結論:情報リテラシーと多様な情報源が鍵
災害時には、SNSは便利な情報源でもあり、同時にデマが拡散しやすい危険な場でもあります。AI生成の映像や画像も増え、判断がより難しくなっています。だからこそ、
**「出所を確認する」「公式情報を優先する」「安易な拡散を避ける」**という基本を日頃から意識し、複数の信頼できる情報手段を持つことが、混乱を防ぎ、自分と周囲の安全につながります。


