災害時における外国人への支援は、日本人住民と同様に命と安全を守るために欠かせないものですが、言語や文化、制度理解の違いにより、特有の課題があります。適切な支援を行うためには、平時からの備えと、災害発生時の配慮ある対応の両方が重要です。

まず大きな課題として挙げられるのが、言語の壁です。災害情報や避難指示が日本語のみで発信されると、日本語に不慣れな外国人には内容が十分に伝わりません。そのため、多言語による情報提供が不可欠です。英語、中国語、韓国語など利用者の多い言語に加え、やさしい日本語を用いることで、理解しやすさが大きく向上します。また、文字情報だけでなく、ピクトグラム(絵文字)や図を活用することも有効です。
次に重要なのが、正確で一貫した情報の提供です。災害時はデマや誤情報が広がりやすく、外国人がSNSなどで不確かな情報に頼ってしまうケースも見られます。自治体や避難所では、公式情報を分かりやすく整理し、掲示や音声、スマートフォン向け配信など複数の手段で伝えることが求められます。情報が更新された際には、その都度明確に伝えることも安心感につながります。
避難所運営においては、文化や生活習慣への配慮も欠かせません。食事面では、宗教上の理由やアレルギー、食文化の違いから、通常の非常食が食べられない場合があります。すべてに対応することは難しくても、成分表示を多言語で示す、選択肢を提示するなどの工夫が重要です。また、生活空間やプライバシー、男女の区別に関する価値観の違いにも理解を示す姿勢が必要です。
さらに、相談・支援体制の整備も重要なポイントです。外国人は在留資格や保険、就労への影響など、日本人とは異なる不安を抱えることがあります。多文化共生センターや国際交流協会、通訳ボランティアと連携し、相談できる窓口を確保することで、心理的な負担を軽減できます。避難所に通訳が常駐できない場合でも、電話通訳や翻訳アプリを活用することで対応の幅は広がります。
また、外国人本人への支援だけでなく、地域住民の理解と協力も欠かせません。日頃から地域で顔の見える関係を築き、「困ったときはお互い様」という意識を共有しておくことが、災害時の円滑な支援につながります。防災訓練に外国人住民も参加しやすい環境を整えることは、相互理解を深める良い機会となります。

最後に、災害時の外国人支援で最も大切なのは、特別扱いではなく、必要な配慮を行うことです。一人ひとりの状況や背景を尊重し、「分からない」「不安だ」という声に丁寧に耳を傾ける姿勢が、適切な支援の基盤となります。平時からの準備と地域全体の協力により、国籍に関わらず安心して避難し、生活を立て直せる環境を整えることが、これからの防災に求められています。


