「地震が起きたら机の下へ!」本当に安全!?

机の下に避難する親子 防災
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学校の防災訓練で「地震が起きたら机の下に入る」と指導されることに対して、「本当にそれで安全なのか」「状況によっては逆に危険ではないか」と疑問を持つ人は少なくありません。結論から言えば、机の下に入る行動は条件付きで非常に有効であり、決して万能ではありません。重要なのは、その目的と限界を正しく理解したうえで指導・実践することです。

シェイクアウト

まず、机の下に入る指導の目的は「揺れそのものから身を守る」ことではなく、落下物や転倒物から頭部と首を守ることにあります。教室内では、照明器具、天井材、窓ガラス、ロッカー、掲示物などが揺れによって落下・飛散する可能性があります。机はこれらから頭を守る「盾」の役割を果たし、特に体格の小さい子どもにとっては、身を低く保ちつつ安全空間を確保できる有効な手段です。阪神・淡路大震災や東日本大震災の被災調査でも、室内での負傷原因の多くは落下物によるものであり、机やテーブルの下に入っていたことで重傷を免れた例が報告されています。

一方で、「机の下に入れば必ず安全」という誤解が危険を生むのも事実です。例えば、古い校舎で耐震性が十分でない場合や、天井の落下が想定される建物では、机そのものが押しつぶされる危険があります。また、教室の出入口付近や窓際では、ガラスの破片が飛び込んでくる可能性も高く、単に机の下に潜るだけでは不十分な場合があります。さらに、津波や火災の恐れがある地域では、揺れが収まった後に速やかな避難行動が必要であり、「ずっと机の下に留まる」ことは正しい行動とは言えません。

そのため、近年の防災教育では「机の下に入る」ことを単独で教えるのではなく、「シェイクアウト(まず低く、頭を守り、動かない)」という一連の行動として指導する考え方が重視されています。これは、①姿勢を低くする、②机や腕で頭・首を守る、③揺れが収まるまで無理に動かない、という三つの要素から成り立っています。机がない場所では、カバンや腕で頭を守り、壁から離れるといった代替行動を取ることも併せて教える必要があります。

また、年齢や状況に応じた指導も不可欠です。低学年の児童には「先生の声を聞いて行動する」「勝手に外へ出ない」といった基本動作を徹底し、高学年や中学生には「揺れが収まった後に何が起きるか」「津波や火災の危険がある場合は次にどう動くか」といった判断力を養う教育が求められます。机の下はあくまで「第一動作」であり、その後の避難行動につなげるための一時的な安全確保であることを理解させることが重要です。

さらに、訓練が形骸化してしまうことへの注意も必要です。ただ号令に従って机の下に入るだけでは、実際の災害時に応用が利きません。「なぜ机の下に入るのか」「どんな場合は別の行動が必要か」を説明し、教室以外(体育館、廊下、校庭、登下校中)での対応も併せて訓練することで、実践的な防災力が身につきます。

避難所学校の体育館

結論として、学校での「机の下に入る」指導は、地震発生直後の初動対応として合理性があり、正しい行動の一つです。しかし、それは万能な安全策ではなく、建物の状況や災害の種類によっては次の行動が不可欠になります。机の下に入る意味と限界を理解し、「考えて動ける防災教育」として位置づけることこそが、子どもたちの命を守る本当の防災訓練と言えるでしょう。

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