災害が発生した際、子どもが学校にいる状況は、保護者にとって最も不安の大きい場面の一つです。特に地震や津波、豪雨などでは、判断の遅れが重大な結果につながることもあり、過去には下校中や迎えに向かう途中で津波に巻き込まれた痛ましい事例もあります。こうした教訓を踏まえ、災害時に保護者と子ども、学校がどのように対応すべきかを整理しておくことが重要です。

まず大前提として、「災害時は学校の指示を最優先にする」ことが基本です。多くの学校では、地震・津波・風水害などを想定した防災計画やマニュアルを整備しています。発災直後は、学校が子どもを校内に留め、安全を確保する「学校待機」を原則とするケースが多く、保護者の判断で迎えに行くことは、かえって危険を高める場合があります。特に津波の恐れがある地域では、保護者が沿岸部や河川沿いを移動すること自体が命の危険を伴います。

次に、津波や大規模地震が発生した場合の行動です。強い揺れや津波警報が出た際には、学校は子どもたちを速やかに高台や校舎上階などの「垂直避難」や指定避難場所へ誘導します。保護者は「迎えに行くより、まず子どもが避難していると信じて待つ」ことが重要です。過去の津波被害では、迎えに行こうとした保護者や、引き渡しのために下校させた結果、被害が拡大した例が報告されています。この教訓から、多くの自治体や学校では「津波警報発令中は引き渡しを行わない」という方針を採っています。
一方、災害発生後しばらくして安全が確認された段階で行われるのが「引き渡し対応」です。引き渡しは、保護者本人確認を行ったうえで、指定された時間・場所で実施されます。混乱を避けるため、事前に登録した家族以外には引き渡さない仕組みになっていることが多いため、祖父母や知人が迎えに行く可能性がある場合は、あらかじめ学校へ届け出ておく必要があります。
連絡手段の確認も欠かせません。災害時は電話がつながりにくくなるため、学校からの連絡はメール配信システムや専用アプリ、学校ホームページ、自治体の防災情報など複数の手段で行われます。保護者は「連絡が来ない=危険」と思い込まず、公式情報を落ち着いて待つ姿勢が重要です。情報が錯綜する中で、SNSの未確認情報に振り回されないことも大切です。
家庭での事前準備も、子どもの命を守る大きな要素です。子ども自身に「学校では先生の指示に必ず従う」「勝手に帰らない」「知らない人についていかない」と繰り返し伝えておきましょう。また、通学路に津波浸水想定区域や危険箇所がある場合は、学校と家庭で情報を共有し、避難経路や避難場所を確認しておくことが重要です。
最後に、保護者ができる最も重要な対応は「焦って動かない」ことです。子どもを思う気持ちから、すぐに迎えに行きたくなるのは自然なことですが、災害時にはその行動が新たな危険を生むことがあります。学校と家庭が事前に役割を共有し、「子どもは学校で守る、保護者は安全が確認されるまで待つ」という共通認識を持つことが、悲劇を繰り返さないための最大の備えとなります。
日頃から学校の防災方針を確認し、家庭内で話し合いを重ねておくことが、いざという時に子どもの命を守る確かな行動につながります。


