■ 災害避難時に障害者支援が遅れる主な問題点

① 要支援者の把握不足
多くの自治体では「避難行動要支援者名簿」を整備していますが、
- 個人情報の共有が進まない
- 登録が任意で漏れがある
- 転居や状態変化が反映されない
といった理由で、実際の避難時に十分機能しないことがあります。
制度整備は進んでいますが、実運用が追いついていない点が課題で、これは内閣府の防災資料でも繰り返し指摘されています。
② 個別ニーズの違いが大きい
障害と一言でいっても必要な支援は全く異なります。
例
- 視覚障害:音声誘導が必要
- 聴覚障害:情報伝達が困難
- 車椅子利用者:段差・トイレ問題
- 発達障害:環境変化に強いストレス
- 医療的ケア児:電源や医療機器が必須
避難所が一般仕様だと、生活が成り立たないケースが多くなります。
③ 情報伝達の障壁
避難情報は
- 防災無線
- テレビ
- スマホ通知
などが中心ですが、障害特性によっては情報が届きません。
音声だけ、文字だけでは不十分で、多様な手段が必要になります。
④ 避難所のバリアフリー不足
現場でよく起こる問題
- 段差や狭い通路
- 車椅子トイレ不足
- 静養スペースがない
- 介助スペース不足
体育館型避難所は、障害者にとって過酷な環境になりやすいです。
⑤ 支援者側の知識不足
避難所スタッフは
- ボランティア
- 地域住民
が多く、障害理解の経験がない場合が多いです。
結果
- 配慮不足
- 誤解
- トラブル
につながることがあります。
医療・福祉の観点からの連携不足は厚生労働省でも重要課題として挙げられています。
⑥ 家族依存の限界
平時は家族が支援していても
- 家族が被災
- 家族と離散
- 介助者が不足
となり、支援体制が崩れることがあります。
■ 支援遅れを防ぐ具体的対処策
【自治体レベル】
① 個別避難計画の作成
・名簿だけでなく具体的行動計画
・誰が迎えに行くか明確化
・医療機器や薬の確認
② 福祉避難所の事前確保
一般避難所とは別に
- 静かな環境
- 介助体制
を整えた施設を確保。
③ 多様な情報発信
・音声
・文字
・ピクトグラム
・手話動画
など複数手段を併用。
【地域・自治会レベル】
① 支援者の事前決定
・近隣住民
・民生委員
・自主防災組織
による見守り体制。
② 避難訓練の実践型化
・車椅子避難
・暗闇避難
・音声なし訓練
を取り入れる。
【避難所運営レベル】
① 静養スペース確保
・パーテーション
・個室
・照明調整
② 福祉専門職の配置
・社会福祉士
・看護師
・介護職員
③ 支援カード活用
本人が
・必要な支援
・苦手なこと
を提示できるカード。
災害支援に積極的な日本赤十字社などでも、個別支援情報の共有が有効とされています。
■ 現場で特に効果が高い「すぐできる対策」
・地域で要支援者を顔の見える関係にする
・避難所に「静かな区画」を必ず作る
・支援者名簿を紙でも保管
・手話・筆談セットを常備
・延長コードやポータブル電源を備蓄

■ まとめ
障害者支援の遅れは、制度不足だけでなく「情報」「環境」「理解」「連携」の不足が重なって起こります。
しかし、事前の個別計画、地域の見守り、避難所の配慮設計が整えば大幅に改善できます。
特に重要なのは「平時から顔が分かる関係」を作ることです。災害時だけの対応では間に合いません。


