通信インフラ普及後の災害実情

スマートフォンが繋がらない女性 避難
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東日本大震災(2011年)および能登半島地震(2024年)では、すでに携帯電話やスマートフォンが広く普及していました。しかし、実際の災害発生時には「持っていても使えない」という深刻な状況が発生し、通信インフラの脆弱性と対処の重要性が明らかになりました。

まず東日本大震災時の状況です。発災直後から被災地を中心に、携帯電話の音声通話はほぼ使用不能となりました。これは基地局の停電・倒壊に加え、安否確認などの通話が一斉に集中したことで通信が輻輳(ふくそう)したためです。多くの地域で通話規制が実施され、「発信してもつながらない」「呼び出し音すら鳴らない」状態が長時間続きました。一方で、SMS(ショートメッセージ)やメールは音声通話よりも比較的つながりやすく、簡単な安否連絡に活用された例が多く見られました。

ショートメッセージ

また、インターネットについても、停電により自宅の固定回線やWi-Fiが使用できなくなったケースが多発しました。スマートフォン自体は使えても、充電ができず数時間から数日で電源が切れてしまう問題も深刻でした。その中で有効だったのが、災害用伝言ダイヤル(171)や携帯各社の災害用伝言板です。音声通話が困難な状況でも、文字情報を残すことで安否確認が可能となり、これらのサービスの重要性が広く認識される契機となりました。さらに、Twitter(現X)などのSNSは、個人の安否情報や避難所の状況、物資不足の情報共有に大きな役割を果たしました。

SNSをスマートフォンで活用

次に能登半島地震時の状況です。東日本大震災から十年以上が経過し、スマートフォンやSNSはさらに高度に普及していましたが、被災地ではやはり通信障害が発生しました。特に半島部という地理的条件もあり、基地局の被害や停電により、携帯電話が圏外になる地域が点在しました。発災直後は音声通話がつながりにくく、データ通信も不安定な状態が続きました。

一方で、東日本大震災の教訓が活かされた面もあります。携帯各社は移動基地局車や衛星通信設備を比較的早期に投入し、通信回復を急ぎました。また、住民側も「電話はつながらない」という前提で行動し、SNSやメッセージアプリ、災害用伝言板を活用する姿が多く見られました。自治体や報道機関も、WebサイトやSNSを通じて情報発信を行い、紙の掲示や防災行政無線と併用することで情報伝達の多重化が図られました。

これら二つの災害から明らかになったのは、「通信機器の普及=通信の確保」ではないという点です。スマートフォンは強力な情報ツールですが、電源・基地局・回線がそろって初めて機能します。そのため、災害時には音声通話に頼らず、文字通信を優先すること、災害用伝言サービスを使いこなすこと、ラジオなど通信に依存しない情報収集手段を併せ持つことが重要だと分かりました。

おじいちゃんおばあちゃんにスマートフォン操作を教える

東日本大震災と能登半島地震の経験は、通信障害が「必ず起こる前提」で備える必要性を私たちに強く示しています。過去の教訓を踏まえ、日頃から使い方を確認し、複数の手段を準備しておくことが、次の災害時の命綱となるのです。

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