災害発生時の避難生活において、食事の偏りやアレルギー対応不足は、被災者の健康と生命に直結する深刻な問題です。水や寝場所と比べると軽視されがちですが、栄養の偏りやアレルゲン摂取は、体調悪化や命の危険を引き起こす可能性があります。特に長期化する避難生活では、食事の問題は生活の質だけでなく、復旧・復興のスピードにも影響を与えます。

避難時に食事が偏りやすい理由
供給の即効性と保存性優先
災害直後は、調理設備や人手が不足し、配布される食事は保存性・配布のしやすさが最優先されます。その結果、パン、おにぎり、カップ麺、菓子類など、炭水化物中心の食事になりやすく、たんぱく質や野菜、ビタミン類が不足しがちになります。
調理環境の制約
停電や断水により、火を使った調理ができない場合が多く、食中毒防止の観点からも簡易食に限定されます。避難所では大量調理が難しく、個別の栄養ニーズへの対応が後回しになります。
支援物資の内容の偏り
支援物資は善意による提供が多いため、内容が重複しやすく、特定の食品に偏る傾向があります。保存食や即席食品が集中し、生鮮食品や特別食は不足しがちです。
食事の偏りが引き起こす健康問題
体調不良と免疫低下
栄養バランスの悪い食事が続くと、便秘、口内炎、倦怠感などの症状が現れやすくなります。高齢者や子どもでは、免疫力低下による感染症リスクも高まります。
持病の悪化
糖尿病、高血圧、腎疾患などの持病を持つ人にとって、塩分・糖分過多の食事は症状を悪化させる要因になります。医療体制が不十分な避難所では、食事管理の失敗が重大な健康被害につながります。
アレルギー対応不足の深刻さ
食物アレルギーのリスク
食物アレルギーを持つ人にとって、避難所での食事は命に関わる問題です。原材料表示がない食品や、調理過程が不明な配布食は、アナフィラキシーを引き起こす危険があります。
代替食の不足
アレルギー対応食品や特別食は備蓄数が限られており、すぐに底をつくことが多いです。乳・卵・小麦を除去した食品、グルテンフリー食、宗教的制限食などへの配慮も十分とは言えません。
申告のしづらさ
避難所では「我慢すべき」「迷惑をかけたくない」という心理から、アレルギーを申告できない人もいます。この遠慮が、事故につながるケースもあります。
特に影響を受けやすい人々
- 乳幼児や小児
- 高齢者
- 妊産婦
- 慢性疾患を持つ人
- 食物アレルギーや特別な食事制限がある人
これらの人々は、食事問題の影響を強く受けやすく、優先的な配慮が必要です。
改善に向けた取り組み
個人・家庭での備え
- アレルギー対応食品や非常食を備蓄する
- お薬手帳やアレルギー情報カードを携帯する
- 最低3日から1週間分の個別対応食を準備する
自助の備えは、初動期の命綱となります。
避難所運営・行政の課題
行政や運営側は、管理栄養士や医療関係者と連携し、早期から栄養バランスの改善を図る必要があります。また、アレルギーや特別食のニーズを把握し、情報を共有する体制づくりが求められます。

まとめ
避難時の食事問題は、単なる「食べ物の不満」ではなく、健康と命を左右する重要な課題です。食事の偏りは体調を蝕み、アレルギー対応不足は一瞬で命を奪う危険性があります。
災害への備えとは、避難場所や物資の量だけでなく、「誰が、何を、どのように食べるのか」を具体的に想定することです。
個人の備え、避難所運営の工夫、行政の体制整備が連動することで、誰もが安心して生き延びられる避難環境が実現します。


