火山津波の発生メカニズム

インドネシア津波 火山噴火・火山灰
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火山津波とは、火山活動を直接的または間接的な原因として発生する津波の総称であり、一般的な地震津波とは発生メカニズムが大きく異なります。発生頻度は低いものの、発生条件がそろった場合には沿岸地域に甚大な被害をもたらすことがあり、歴史上も多くの犠牲者を出してきました。以下では、火山津波の主な発生メカニズムについて詳しく説明します。

インドネシア町並み

まず代表的なのが火山体の崩壊・山体崩落による津波です。火山は噴火や長期的な熱水変質によって岩盤がもろくなりやすく、地震や噴火をきっかけに山体の一部、あるいは大規模な斜面が海へ一気に崩れ落ちることがあります。この大量の土砂や岩石が海中に流入すると、海水が急激に押しのけられ、津波が発生します。1888年のインドネシア・クラカタウ火山では、噴火に伴う山体崩壊が大規模な津波を引き起こし、周辺沿岸で3万人以上が犠牲になりました。このタイプの津波は、発生源に近い場所ほど波高が非常に高くなるのが特徴です。

次に、海底火山噴火による津波があります。海底で火山が噴火すると、マグマの噴出や爆発により周囲の海水が直接持ち上げられます。特に水深が浅い場所で爆発的噴火(マグマ水蒸気爆発)が起きた場合、瞬間的に大量のエネルギーが海水に伝わり、津波となって四方へ広がります。ただし、噴火規模が小さい場合は波が減衰しやすく、遠方まで到達しないことも多いという特徴があります。

三つ目は、火砕流の海への流入による津波です。火砕流とは、高温の火山ガス・火山灰・岩塊が高速で斜面を流れ下る現象です。陸上噴火で発生した火砕流がそのまま海に突入すると、巨大な土砂流入と同様の効果を持ち、津波を引き起こします。1792年の日本・雲仙岳の噴火では、眉山の山体崩壊に伴う岩屑なだれが有明海に流入し、「島原大変肥後迷惑」と呼ばれる火山津波が発生しました。この津波により対岸の熊本側でも多数の犠牲者が出ています。

四つ目は、カルデラ形成や地盤の急激な沈降です。大規模噴火によって地下のマグマが大量に噴出すると、地表が陥没してカルデラが形成されることがあります。これが海域で起きた場合、海底の急激な沈降によって周囲の海水が引き込まれ、結果として津波が発生します。このタイプは発生規模が非常に大きくなる可能性があり、広範囲に影響を及ぼします。

最後に、火山活動に伴う地震や圧力波による間接的な津波も挙げられます。大規模噴火では強い火山性地震が発生し、その揺れが海底地盤を動かすことで津波が生じることがあります。また、噴火による大気圧の急変(衝撃波)が海面を押し下げ、津波として伝播するケースも報告されています。

インドネシアの朝焼け

このように、火山津波は「地震による断層運動」だけで発生する通常の津波とは異なり、山体崩壊・噴火・火砕流・地盤変動など複数の要因が関与する複合災害です。発生の予測が難しく、噴火とほぼ同時、あるいは前触れなく発生する場合も多いため、火山周辺の沿岸地域では火山活動の監視と、噴火時に速やかに高台へ避難する意識が極めて重要となります。

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