
1985年 ネバド・デル・ルイス火山噴火(コロンビア)
発生年:1985年
国:コロンビア
死者数:約23,000人
主因:火山噴火に伴う火山泥流(ラハール)
20世紀以降で、単一噴火による死者数が最も多い災害
として世界的に認識されています。
なぜ「最大の被害」になったのか
この噴火の特徴は、
- 噴火規模そのものは中規模
- しかし被害は極めて甚大
- 「防げた災害」としても有名
という点にあります。
噴火の概要
■ 火山の特徴
- ネバド・デル・ルイス火山は標高約5,300m
- 山頂に氷河を抱える成層火山
■ 噴火当日の流れ
- 小規模な爆発的噴火が発生
- 噴火熱で山頂の氷河が急速に融解
- 融けた水と火山灰が混ざり
- **高速の火山泥流(ラハール)**が発生
- 川沿いを流下し、下流の町を直撃
最大の犠牲地「アルメロ市」
- 火山から約70km下流
- 噴火から数時間後に泥流が到達
- 町は深夜で住民は就寝中
結果として、
- 住民約28,000人のうち
- 約23,000人が死亡
町そのものが地図から消滅しました。
なぜ避難できなかったのか
① 危険は事前に分かっていた
- 火山学者は噴火と泥流の危険性を警告
- ハザードマップも作成されていた
② 警告が政治・行政に届かなかった
- 「小規模噴火だから大丈夫」という誤解
- 経済的・社会的理由で避難判断が遅れた
③ 夜間・豪雨という最悪条件
- 停電
- 視界不良
- 情報伝達の途絶

「現代防災の失敗例」としての位置づけ
この噴火は、
- 自然災害の恐ろしさ
よりも - 人為的判断ミスの恐ろしさ
を世界に示しました。
現在の火山防災では、
- ハザードマップ整備
- 噴火警戒レベル
- 早期避難原則
が重視されるようになった背景には、
この災害の反省があります。
他の現代の大規模噴火被害との比較
| 火山 | 年 | 死者数 | 主因 |
|---|---|---|---|
| ネバド・デル・ルイス | 1985 | 約23,000人 | 火山泥流 |
| モン・ペレ | 1902 | 約30,000人 | 火砕流 |
| セントヘレンズ | 1980 | 57人 | 山体崩壊 |
| ピナツボ | 1991 | 約800人 | 噴石・飢餓 |
※1902年のプレ―火山は「近代」に含まれることが多いため、
純粋な「現代」では1985年が最大とされます。


