近年、熱帯夜や猛暑日が増加し、夜間に発生する「夜間熱中症」が大きな問題となっています。夜間熱中症は、就寝中や就寝前後に自覚症状が出にくく、発見が遅れることで重症化しやすいという特徴があります。特に高齢者や乳幼児、体力の低下した人にとっては命に関わる危険な状態となるため、正しい予防策と対処法を理解することが重要です。

夜間熱中症が起こりやすい理由
夜間でも気温や湿度が高い状態が続くと、体にこもった熱が十分に放出されません。通常、睡眠中は体温が下がることで深い眠りに入りますが、熱帯夜では体温調節がうまくいかず、体温が高いまま維持されます。
また、就寝中は発汗により水分が失われますが、眠っているため水分補給ができません。さらに高齢者は暑さを感じにくく、エアコンの使用を控えがちなため、知らないうちに脱水や体温上昇が進行します。
夜間熱中症の主な予防策
① 就寝前の環境づくり
室温は**28℃以下、湿度は50~60%**を目安に調整します。エアコンや除湿機を適切に使用し、扇風機を併用して空気を循環させると効果的です。「冷えすぎ」が心配な場合は、風向きを天井側に向けると体への直接風を避けられます。
② 就寝前・就寝中の水分補給
寝る前にコップ1杯(200ml程度)の水や経口補水液を摂取します。枕元には必ず飲み物を置き、夜中に目が覚めた際にすぐ補給できるようにします。アルコールは利尿作用があるため、就寝前は避けるべきです。
③ 寝具・衣類の工夫
通気性・吸湿性に優れた寝具やパジャマを使用します。冷感素材や麻、綿素材は熱を逃がしやすく、夜間の体温上昇を抑えます。厚手の布団は避け、タオルケットなどで体温調節を行います。
④ 日中の体調管理
夜間熱中症は、日中の疲労や脱水が影響します。日中からこまめな水分・塩分補給を心がけ、強い暑さの中での無理な活動を控えることが、夜間のリスク低減につながります。
特に注意が必要な人への対策
高齢者、乳幼児、持病のある人は夜間熱中症のハイリスク群です。
家族や周囲の人は、
・就寝前に室温設定を確認
・エアコンのタイマー切れに注意
・定期的な声かけや見守り
を行うことが重要です。独居高齢者の場合、見守りサービスや近隣との連携も有効です。
夜間熱中症が疑われる場合の対処法
① 速やかな冷却
異常な暑さ、寝苦しさ、頭痛、吐き気、意識がもうろうとする場合は、すぐに冷房の効いた部屋へ移動します。衣服をゆるめ、首・わきの下・足の付け根など太い血管がある部位を冷やします。
② 水分・塩分補給
意識がはっきりしている場合は、経口補水液やスポーツドリンクを少量ずつ摂取します。一気飲みは避け、ゆっくり補給します。
③ 医療機関への相談
呼びかけに反応が鈍い、意識障害、けいれんがある場合は、ためらわず救急車を要請します。夜間熱中症は急激に重症化するため、早めの判断が重要です。
夜間停電時の注意点
停電中はエアコンが使えず、夜間熱中症の危険性が一気に高まります。
・保冷剤や冷たいタオルで体を冷やす
・窓を開けて風を通す
・水分補給を徹底する
など、代替手段を用意しておくことが大切です。

おわりに
夜間熱中症は「寝ている間に起こる静かな危険」です。
しかし、室内環境の調整、水分補給、周囲の見守りといった基本的な対策を徹底することで、十分に予防することが可能です。
酷暑が常態化する現代において、夜間の熱中症対策は、日中と同じくらい重要な命を守る行動といえるでしょう。


