旅行や出張で訪れた観光地で災害に遭遇した場合、地元住民と比べて圧倒的に不利になるのが「土地勘不足」という問題です。避難場所の位置が分からない、危険な地形を知らない、情報の入手先が分からないといった状況が重なり、判断の遅れが命に直結することもあります。東日本大震災では沿岸観光地で多くの観光客が被災し、能登半島地震でも土地勘のない来訪者が避難に苦労しました。本稿では、観光地で被災した際に生じる土地勘不足のリスクを整理し、事前・発災直後・避難行動・滞在中の各段階で取るべき具体的対処策を解説します。






観光地で土地勘不足が致命的になる理由
① 避難場所・避難経路が分からない
多くの観光客は、
・指定避難所
・高台
・津波避難ビル
の場所を事前に把握していません。特に地震後の津波や豪雨時の土砂災害では、数分の判断遅れが致命傷となります。






② 危険な地形・構造物を知らない
土地勘がないと、
・崩れやすい斜面
・増水しやすい川
・倒壊しやすい古い建物
などの危険を見抜けません。






③ 情報源が分からない
地元の防災無線、自治体サイト、避難情報の発信先を知らず、正確な情報に辿り着けないケースが多発します。






災害別に見る土地勘不足のリスク
地震
・落下物の多い繁華街
・狭い路地
・老朽建築物の多い観光地区
津波
・海までの距離感が分からない
・高台の方向が分からない
豪雨・土砂災害
・用水路・側溝の存在に気づかない
・谷地形に入り込んでしまう






事前にできる対処策(旅行前)
① ハザードマップの事前確認
旅行前に、
・地震
・津波
・洪水
・土砂災害
のハザードマップを最低限確認します。
② 宿泊施設の防災体制を把握
・非常口
・避難誘導方法
・館内放送
をチェックします。フロントで「災害時の避難はどうなりますか?」と聞くのも有効です。
③ スマホ設定の見直し
・緊急速報のON
・地図アプリのオフライン保存
・モバイルバッテリー携行



発災直後に取るべき行動(観光地)
① まずは身の安全確保
建物内では、
・頭を守る
・窓・照明から離れる
屋外では、
・建物から距離を取る
② むやみに移動しない
土地勘がない状態での移動は危険です。安全が確認できるまで待機する判断も重要です。
③ 観光施設・宿泊施設の指示に従う
土地勘のある施設スタッフの指示は、非常に重要な情報源です。
避難行動時の具体的対処策
① 「高い・広い・新しい」を意識
避難時は、
・高い場所
・広い場所
・比較的新しい建物
を目指します。
② 標識とピクトグラムを活用
言葉が分からなくても理解できる避難誘導表示を見逃さないようにします。
③ 周囲の人と行動を共にする
一人で判断せず、集団行動を意識します。
夜間・悪天候時の注意点
・視界不良
・足元の段差
・停電
土地勘不足下では、夜間の移動は特に危険です。可能であれば夜明けを待つ判断も重要です。
情報収集のコツ(観光地)
・自治体公式SNS
・防災アプリ
・宿泊施設の掲示
不確かなSNS情報には注意し、公式情報を優先します。
帰宅・移動判断の注意点
災害後すぐに帰ろうとすると、
・交通機関停止
・道路寸断
に巻き込まれます。無理な帰路選択はしないことが重要です。
外国人観光客への配慮(多言語)
多言語表示やピクトグラムを活用し、身振りや指差しで助け合う姿勢が大切です。
観光地側に求められる対策
・分かりやすい避難表示
・観光客向け防災案内
・一時避難場所の明示
まとめ
観光地で被災した際の土地勘不足は、
「知らなかった」では済まされない命のリスクです。
・事前の最低限の下調べ
・発災直後の冷静な待機判断
・地元の人・施設を頼る勇気
これらが、生死を分ける行動になります。
「観光客だから分からない」のではなく、
「観光客だからこそ慎重に、頼る」
この意識を持つことが、土地勘不足という弱点を補い、観光地での災害から命を守る最大の対処策となるのです。


