高齢化が進む日本において、高齢者が外出中に災害に遭遇する問題は、今後ますます重要な防災課題となります。買い物、通院、散歩、地域活動など、日常の外出中に地震・豪雨・猛暑・豪雪などに巻き込まれるケースは決して珍しくありません。東日本大震災や熊本地震、近年の豪雨災害でも、屋外で被災した高齢者が避難判断や移動に苦慮する事例が数多く報告されています。

なぜ高齢者は外出中に被災しやすいのか
① 身体機能の低下
高齢者は、
・歩行速度が遅い
・段差でつまずきやすい
・バランス能力が低下している
ため、地震時の揺れや豪雨時の路面変化に対応しにくく、転倒やけがのリスクが高まります。
情報入手の遅れ
スマートフォンや防災アプリを使い慣れていない高齢者も多く、
・警報に気づかない
・避難情報を理解しづらい
という課題があります。
外出中に想定される主な災害リスク
地震
・転倒
・落下物(看板、瓦、ガラス)
・ブロック塀倒壊
豪雨・台風
・道路冠水
・側溝転落
・河川増水
猛暑
・熱中症
・脱水症状
豪雪・寒波
・転倒事故
・低体温症
実際に起きた問題事例
① 帰宅困難による長時間屋外滞留
交通機関停止により、バス停や駅周辺で長時間立ち尽くす高齢者が発生しました。
② 避難所まで辿り着けない
距離や段差、暗さが障壁となり、避難途中で体力を消耗するケースがありました。
③ 誰にも助けを求められない
周囲に人がいても、遠慮や不安から声をかけられず、孤立状態になる事例も見られました。
外出中被災がもたらす二次的問題
・持病の悪化
・服薬中断
・精神的不安の増大
・家族との連絡断絶
特に医療・介護が必要な高齢者ほど、影響は深刻です。
高齢者本人ができる事前対策
① 外出前の情報確認
・天気予報
・警報・注意報
を確認し、無理な外出を控えます。
② 持ち物の工夫
・身分証明書
・緊急連絡先メモ
・常備薬
・飲料水
を携帯します。
③ 危険回避の意識づけ
「揺れたらその場で身を守る」「冠水路には近づかない」など、シンプルな行動ルールを決めておきます。
家族ができる支援と備え
① 外出予定の共有
「どこへ、何時頃まで行くか」を把握しておくことで、災害時の安否確認が容易になります。
② 防災グッズの携帯化
重い防災リュックではなく、小型の外出用防災セットを用意します。
地域・社会が果たす役割
① 声かけ・見守りの重要性
災害時、最初の支援者は周囲の人です。日常から声をかけやすい関係づくりが命を守ります。
② 分かりやすい情報提供
・大きな文字
・ピクトグラム
など、高齢者にも伝わる表示が必要です。
③ 一時退避場所の整備
公園、商業施設、公共施設など、屋外で被災した人が一時的に避難できる場所を明確にします。
災害発生時の行動指針(外出中)
・無理に帰宅しようとしない
・安全な建物や広い場所へ移動
・周囲の人に助けを求める
・体調異変を感じたらすぐ休む
今後の課題と打開策
今後は、
・高齢者向け防災教育の強化
・ICTに頼らない情報伝達
・地域での助け合い体制
が一層求められます。

まとめ
高齢者の外出中被災は、
**「本人の不注意」ではなく「社会全体で備えるべき課題」**です。
・外出中は支援を受けにくい
・判断・体力面で不利
・小さな遅れが命に直結
こうした現実を踏まえ、
・本人の備え
・家族の支援
・地域の見守り
・社会の仕組み
を組み合わせることが重要です。
「外出していても、ひとりにしない」
その意識と行動が、高齢者の命と安心を守る最大の防災対策となるのです。


