災害時の避難というと、夏の熱中症が注目されがちですが、**実は一年を通して起こりうる深刻なリスクが「低体温症」**です。特に地震・豪雨・台風・大雪などの災害では、濡れ・風・寒さが重なり、避難中や避難所生活の初期段階で低体温症に陥るケースが多く報告されています。ここでは、避難中に低体温症が起こる理由、症状、予防策、行動上の注意、発症時の対処、そして事前の備えについて、2000文字程度で詳しく解説します。

避難中に低体温症が起こりやすい理由
低体温症は「寒冷地だけの問題」ではありません。気温が10〜15℃程度でも、以下の条件が重なると発症します。
・雨や汗で衣服が濡れている
・強風にさらされる
・疲労や空腹による体力低下
・夜間や早朝の移動
災害時はこれらが同時に起こりやすく、体温を保つ力が急激に奪われます。
低体温症の進行と症状
低体温症は段階的に進行します。
① 軽度(体温35℃前後)
・強い寒気
・震えが止まらない
・指先の感覚低下
② 中等度(32〜34℃)
・震えが弱くなる
・動作が鈍くなる
・判断力低下、言葉が不明瞭
③ 重度(32℃未満)
・意識障害
・脈や呼吸が弱くなる
・命の危険が高い状態
特に危険なのは、寒さを感じにくくなる段階です。
避難中に起きやすい危険な場面
・雨の中での徒歩避難
・濡れた衣服のままの長時間待機
・河川敷や高台での強風
・夜間の屋外滞留
これらは低体温症のリスクが非常に高くなります。
避難行動の前に考えるべき判断
① 本当に避難する必要があるか
命の危険が迫っていない場合、屋内待機が低体温症予防につながることもあります。
② 移動距離と天候の確認
夜間・雨天・強風時の長距離移動は、原則避けるべきです。
避難中の低体温症予防策
① 濡れ対策が最優先
・雨具(レインコート)
・リュックカバー
・ビニール袋(簡易防水)
「濡れない」ことが最大の防寒です。
② 服装の工夫
・重ね着(空気層を作る)
・綿より化繊・ウール
・首・手首・足首を守る
③ 風を避ける行動
・建物の陰を利用
・高台や橋上は速やかに通過
風は体感温度を大きく下げます。
④ こまめなエネルギー補給
・チョコレート
・ナッツ
・非常食
エネルギー不足は体温維持力を下げます。
避難所・一時滞在中の注意点
・床からの冷え対策(段ボール、マット)
・濡れた衣服はすぐ交換
・毛布は下からも使う
避難所では冷えは下から来ることを意識します。
低体温症が疑われる場合の対処
① すぐに寒冷環境から離す
屋内や風のない場所へ移動。
② 濡れた衣服を脱がせる
乾いた衣類・毛布で包む。
③ ゆっくり温める
・体幹を中心に
・急激な加温は避ける
④ 温かい飲み物
意識がある場合のみ。
⑤ 重症時は救急要請
意識障害がある場合は119番。
やってはいけない行動
・激しくこする
・急激な入浴
・アルコール摂取
これらは症状を悪化させます。
高齢者・子ども・持病のある人への配慮
これらの方は体温調節能力が低く、低体温症になりやすいため、
・無理な避難を避ける
・同行者をつける
・早めの防寒
が重要です。
事前の備え
非常持ち出し袋
・防寒アルミシート
・予備衣類
・使い捨てカイロ
・雨具
日常からの意識
・天候に応じた判断力
・「寒い=危険」という認識

まとめ
避難中の低体温症は、静かに進行し、気づいた時には重症化していることが多い危険な状態です。
・濡れない
・風を避ける
・早めに温める
この3点を徹底することが、命を守る行動につながります。
災害時の避難は、「動くこと」よりも「生き延びること」が目的です。
寒さを軽視せず、低体温症を防ぐ行動を最優先に考えることが、避難の成否を分けるのです。


