大規模災害が発生し、公共交通機関が停止すると、やむを得ず徒歩での避難や帰宅を選択せざるを得ない場面があります。しかし真夏や高温多湿の環境下では、徒歩避難そのものが熱中症の重大なリスクを伴います。実際、災害時の二次被害として熱中症で体調を崩し、命に関わる事例も報告されています。ここでは、徒歩避難中に起こる熱中症の特徴、予防策、行動上の注意、発症時の対処法、そして事前の備えまでを2000文字程度で詳しく解説します。

徒歩避難中に熱中症が起きやすい理由
徒歩避難は平時の外出とは全く異なります。
・長距離・長時間の歩行
・荷物を背負った状態
・休憩場所が限られる
・緊張と不安による発汗増加
さらに災害時は、日陰が少ないルートを歩かざるを得ない、冷房の効いた施設に入れないなど、体温調節が非常に困難な環境になります。
熱中症の初期症状を見逃さない
徒歩避難中に現れやすい症状には次のようなものがあります。
・めまい、立ちくらみ
・頭痛、吐き気
・異常な発汗、または汗が止まる
・集中力低下、判断力低下
これらは「まだ歩けるから大丈夫」と軽視されがちですが、重症化の前兆です。
徒歩避難前に考えるべき判断
① 本当に歩く必要があるか
熱中症対策の最大のポイントは、歩かない判断です。
・職場や学校での待機
・一時滞在施設の利用
が可能なら、無理な徒歩避難は避けるべきです。
距離と時間の見積もり
徒歩での安全な移動距離は、
・健常者:5〜10km
・高齢者:5km未満
が一つの目安とされます。真夏はこの距離でも危険です。
徒歩避難中の具体的な熱中症予防策
① 水分・塩分補給
・喉が渇く前に少量ずつ飲む
・スポーツドリンクや経口補水液
・塩飴やタブレット
一度に大量に飲むのは逆効果です。
② 服装と装備
・通気性の良い服
・帽子やタオル
・リュックは背中に隙間を作る
濃色の服や密着した衣服は体温上昇を招きます。
③ 歩き方とペース管理
・ゆっくり歩く
・こまめに立ち止まる
・汗をかいたら無理に拭きすぎない
競歩のような歩行は厳禁です。
④ 日陰と休憩の確保
・建物の影
・高架下
・公園
日向を避け、10〜15分に一度の休憩を意識します。
冷却が最優先
体温上昇を感じたら、冷やすことが最重要です。
・首、脇、太ももの付け根を冷やす
・濡れタオルで皮膚を冷却
・うちわや扇子で風を送る
冷却が遅れるほど重症化します。
熱中症が疑われる場合の対処
① すぐに歩行を中止
「あと少し」は命取りです。
② 日陰・涼しい場所へ移動
可能であれば、建物内へ。
③ 水分・塩分補給
嘔吐がある場合は無理に飲ませない。
④ 意識障害がある場合
・応答がおかしい
・呼びかけに反応しない
この場合は緊急事態であり、119番通報が必要です。
周囲の人ができるサポート
徒歩避難は集団になることが多いため、
・声かけ
・ペースを合わせる
・無理をさせない
といった互助が重要です。
高齢者・子ども・持病のある人への配慮
これらの方は、徒歩避難そのものが危険です。
・原則として待機
・同行者をつける
・早めに休憩
が必須です。
事前にできる備え
非常持ち出し袋に入れるもの
・経口補水液
・冷却タオル
・帽子
・塩分補給食品
日頃からの体調管理
・睡眠不足を避ける
・暑さに慣れる(暑熱順化)

まとめ
徒歩避難中の熱中症対策で最も大切なのは、
「無理に歩かない」判断力です。
災害時は「帰らなければ」「進まなければ」という心理が働きますが、
熱中症は静かに、そして急激に命を奪います。
・歩かない選択
・こまめな水分補給
・早めの休憩と冷却
これらを徹底することで、徒歩避難は「生き延びる行動」になります。
災害時の移動は、速さよりも安全最優先で行動することが、何より重要なのです。


