災害時に見落とされがちなのが、働き盛り世代(30~50代)の過労問題です。
この世代は「支える側」に回るため、支援対象になりにくく、結果として心身の不調を抱え込みやすい特徴があります。
■ なぜ働き盛り世代が過労になりやすいのか

① 多重役割の集中
- 会社の復旧対応
- 家庭の生活維持
- 子どものケア
- 高齢親の支援
- 地域活動(自治会・消防団)
「自分が倒れたら回らない」という責任感が強い世代です。
② 感情を抑えやすい
- 弱音を吐けない
- 周囲に頼らない
- 我慢が美徳という文化
結果としてストレスが蓄積します。
③ 企業側の復旧圧力
特にインフラ・建設・流通業では、復旧が急務となり長時間労働が発生します。
過去の災害でも、労働環境の改善は課題となり、労働行政を担う厚生労働省でも過労防止対策が進められています。
■ 豪雪時に特有の過労要因
豪雪地帯では、他災害よりも身体的負荷が大きくなります。
① 除雪作業の連日実施
- 早朝除雪 → 出勤
- 帰宅後除雪
- 屋根雪下ろし
睡眠時間が削られます。
② 物流・交通業の長時間労働
- 渋滞対応
- 立ち往生支援
- 除排雪応援
③ 農林業・建設業の復旧対応
設備被害の緊急修理で休みが取れません。
■ 過労が引き起こすリスク
① 心血管疾患
寒冷下での重労働は心筋梗塞リスク増大。
② うつ・適応障害
災害後数週間~数か月で発症しやすい。
③ 家庭内不和
ストレスが家庭に波及。
④ 判断力低下
二次災害の原因に。
■ 見逃されやすいサイン
- 睡眠4時間未満が継続
- 怒りっぽい
- 無表情
- 「大丈夫」が口癖
- 食欲不振
- 飲酒増加
本人は「疲れているだけ」と考えがちです。
■ なぜ支援が届きにくいのか
- 支援制度は高齢者・子ども中心
- 相談窓口に行く時間がない
- 男性相談率が低い
- 組織文化の問題
■ 有効な対策(個人・企業・地域)
個人レベル
- 睡眠最優先(最低6時間)
- 除雪を分担
- 連続作業を避ける
- アルコール依存に注意
企業レベル
- 交代制導入
- 強制休養日設定
- メンタルチェック実施
- 管理職への声かけ研修
地域レベル
- 自治会で除雪ローテーション
- 消防団の休養確保
- 家族向け説明資料配布
■ 災害後1~3か月が危険
直後はアドレナリンで乗り切れますが、
復旧が落ち着いた頃に「燃え尽き」が起こります。
■ 構造的問題としての過労
働き盛り世代の過労は
・家庭責任の集中
・地域防災の担い手不足
・企業の復旧優先文化
・男性の相談抑制傾向
が絡む社会的課題です。

■ まとめ
働き盛り世代は
「倒れてはいけない世代」ではなく
「守られるべき基幹世代」です。
対策の鍵は
- 睡眠確保
- 役割分散
- 企業の意識改革
- 早期声かけ
- 災害後3か月のフォロー

