寒波による低体温になるメカニズム

寒さで手に息を吐く女性 健康被害・疾患
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冬季に強い寒波が襲来すると、屋外だけでなく室内でも「低体温症」が発生する危険性が高まります。低体温症は、体の中心部の体温(深部体温)が35℃以下に低下した状態を指し、進行すると意識障害や生命の危険を伴います。寒波時に低体温が起こる仕組みを理解することは、命を守るうえで極めて重要です。

粉雪が積もりたてのの木

人の体は熱を生み、守る仕組みを持っている

人間は通常、体温を約36~37℃に保つため、
・筋肉の活動による熱産生
・食事によるエネルギー供給
・皮膚や皮下脂肪による断熱
といった仕組みを使っています。

寒さを感じると、脳の視床下部が反応し、皮膚の血管を収縮させて熱の放散を抑えます。また、寒さが強まると「震え(シバリング)」が起こり、筋肉を細かく動かして熱を生み出そうとします。


寒波では「熱が奪われる速度」が急激に増す

寒波時には、体から奪われる熱の量が、体内で作り出せる熱を上回ります。
体温低下を招く主な要因は以下の通りです。

① 低温による熱放散の増加

気温が低いほど、体表面から空気中へ熱が移動しやすくなります。特に露出した皮膚は急速に冷やされます。

② 強風による体感温度の低下

風が吹くと、体表の温まった空気が奪われ、冷たい空気に入れ替わります。これにより、実際の気温以上に熱が奪われる「風冷え効果(ウインドチル)」が発生します。

③ 雪や雨による濡れ

衣類が濡れると断熱性が著しく低下し、体熱は乾燥時の何倍もの速度で奪われます。雪解け水や冷たい雨は低体温の大きな引き金になります。


体温調節機能が追いつかなくなる

寒波が長引くと、体温調節機能そのものが限界を迎えます。
・長時間の屋外作業
・十分な防寒ができていない状態
・エネルギー不足(空腹、栄養不足)
などが重なると、体は十分な熱を作れなくなります。

特にエネルギー源となる糖質や脂質が不足すると、震えによる熱産生も低下します。


低体温が進行する際の体内変化

体温が下がるにつれて、以下の変化が段階的に起こります。

軽度(35~32℃)

・強い寒さを感じる
・激しい震え
・判断力の低下、動作が鈍くなる

中等度(32~28℃)

・震えが弱まる
・言葉が不明瞭になる
・意識がぼんやりする

重度(28℃以下)

・意識障害、昏睡
・心拍や呼吸の低下
・不整脈、心停止の危険

震えが止まるのは「回復」ではなく、体力が尽きた危険なサインです。


寒波時に低体温になりやすい人

以下の人は特に注意が必要です。

・高齢者(体温調節機能の低下)
・乳幼児(体表面積が大きく熱を失いやすい)
・持病のある人
・飲酒後の人(血管拡張による熱喪失)
・疲労や睡眠不足の人


屋内でも起こる低体温

寒波による低体温は屋外だけの問題ではありません。
暖房を使わない部屋や、断熱性の低い住宅では、室温が急激に下がります。特に夜間は体温が下がりやすく、気づかないうちに低体温が進行するケースがあります。


粉雪の木の枝

おわりに

寒波による低体温は、「寒さ」「風」「濡れ」「エネルギー不足」が重なり、体の防御機能を超えたときに発生します。
低体温症は突然起こるものではなく、徐々に進行します。
メカニズムを理解し、早めの防寒対策、休息、栄養補給を行うことが、寒波から命を守る最善の方法です。

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