雷は短時間で大きなエネルギーを放出する自然現象であり、落雷によって送電設備や配電機器が損傷すると、広範囲または局地的な停電が発生します。近年は集中豪雨や線状降水帯の増加に伴い、雷を伴う荒天も増えており、停電への備えは日常生活に欠かせない防災対策の一つとなっています。

雷による停電はなぜ起こるのか
雷が送電線や変電設備、電柱、変圧器に落ちると、異常な高電圧(雷サージ)や過電流が発生します。これにより、電力設備の保護装置が作動し、自動的に送電を遮断します。これは設備や火災を守るための安全機能ですが、その結果として停電が発生します。
また、雷によって送電線が断線したり、変圧器内部が破損した場合は、復旧までに時間がかかる長時間停電になることもあります。つまり、雷停電の多くは「設備を守るために意図的に電気が止まる」ケースなのです。
個人では防げないが「備え」はできる
送電網への落雷自体を一般家庭が防ぐことはできません。しかし、停電が起きた際の被害を最小限に抑える予防策、そして停電に強い生活環境を整えることは可能です。ここでは実践的な対策を紹介します。
予防策① 停電を想定した電源の確保
雷による停電は短時間で復旧することも多いですが、数時間〜半日以上続くこともあります。そのため、最低限の電源確保が重要です。
- モバイルバッテリー:スマートフォンや小型機器用に、常に満充電を1〜2台用意
- ポータブル電源:照明、扇風機、通信機器などに使用可能
- 乾電池式機器:ラジオ、懐中電灯は電池式が安心
これらは「停電を防ぐ」直接的対策ではありませんが、停電による生活への影響を大きく減らす有効な予防策です。
予防策② 家電・設備を守る事前対策
雷停電の直前や直後は、電圧の急変が起こりやすく、家電故障の原因になります。
- 雷サージ対応の電源タップを使用
- 停電が予想される場合は、不要な家電の電源を切る
- 復電時に一斉起動しないよう、主要機器はスイッチを切っておく
特にパソコン、テレビ、給湯器などは、停電復旧時の電圧変動で故障する例が多いため注意が必要です。
予防策③ 照明・情報手段の確保
停電時に最も困るのが「暗さ」と「情報不足」です。
- 常夜灯機能付きライトや人感センサーライトを設置
- 乾電池式・手回し式ラジオで気象情報を入手
- スマートフォンの省電力モードを活用
これにより、夜間の雷停電でも安全に行動できます。
予防策④ 冷蔵庫・食料への備え
停電が長引くと、冷蔵・冷凍食品が傷む可能性があります。
- 保冷剤を常に冷凍庫に入れておく
- 冷蔵庫の開閉回数を極力減らす
- カセットコンロなど、電気を使わない調理手段を準備
これらは雷に限らず、あらゆる停電対策として有効です。
予防策⑤ 住宅設備の点検と強化
可能であれば、住宅側の設備対策も検討すると安心です。
- 分電盤への避雷器(SPD)設置
- 屋外配線やアンテナの点検
- 太陽光発電・蓄電池の適切な雷対策
特に在宅医療機器や仕事で電力依存度が高い家庭では、設備レベルでの対策が重要になります。
事業所・店舗での対策ポイント
事業所では、雷停電が業務停止やデータ損失に直結します。
- UPS(無停電電源装置)の導入
- サーバーやPOSシステムの保護
- 停電時対応マニュアルの整備
「停電しない前提」から「停電しても止まらない体制」へ考え方を変えることが重要です。
日常からできる心構え
雷による停電は予測が難しく、突然発生します。日頃から「もし今、電気が止まったらどうなるか」を想定し、備えを確認しておくことが最大の予防策です。

まとめ
雷による停電は完全に防ぐことはできませんが、電源の多重化、家電保護、情報確保、生活面の備えを組み合わせることで、影響は大きく軽減できます。停電は「非常時」ではなく「起こり得る日常のリスク」として捉え、事前の準備を進めることが、安全で安心な暮らしにつながります。


