爆弾低気圧とは、急激に発達する温帯低気圧のことで、短時間のうちに気圧が急降下し、暴風や大雪、高潮などの激しい気象災害をもたらします。正式な気象用語ではありませんが、「爆発的に発達する低気圧」という特徴を端的に表す言葉として広く使われています。

爆弾低気圧の定義
一般に、24時間で中心気圧が24hPa以上低下する低気圧を「爆弾低気圧」と呼びます。これは中緯度(日本付近)における目安で、緯度によって基準は多少異なります。この急激な気圧低下が、猛烈な風や急変する天候の原因となります。
温帯低気圧との違い
通常の温帯低気圧は、暖かい空気と冷たい空気の境界(前線)でゆっくり発達します。一方、爆弾低気圧は、発達に必要な条件が同時に重なったときに、一気に成長します。そのため、発生から最盛期までが非常に短く、予測が難しいのが特徴です。
発生に必要な基本条件
爆弾低気圧が発生・発達するには、主に次の条件が必要です。
① 強い温度差(気温の傾き)
低気圧の原動力は、暖気と寒気の温度差です。冬から春にかけて、日本付近では南から暖かく湿った空気、北から冷たく乾いた空気が流れ込み、非常に大きな温度差が生じます。この温度差が大きいほど、低気圧は発達しやすくなります。
② 上空の強いジェット気流
上空約10km付近を流れるジェット気流は、爆弾低気圧の「引き金」となります。ジェット気流の流れが発散する場所では、上空の空気が外へ逃げ、地表付近の気圧が急激に下がります。これが低気圧の急発達を促します。
③ 暖かい海からのエネルギー供給
日本近海には黒潮や対馬暖流といった暖流が流れており、冬でも海水温が比較的高く保たれています。この暖かい海から大量の水蒸気が供給されることで、雲の中で凝結熱(潜熱)が放出され、低気圧がさらに強まります。
爆発的に発達する仕組み
爆弾低気圧の発達は、地上と上空の連携によって起こります。
まず、地上付近では暖気が寒気の上に乗り上げることで上昇気流が発生します。上空ではジェット気流の影響で空気が発散し、地上の空気が次々と吸い上げられます。すると地上の気圧が急降下し、低気圧の中心に向かって強風が吹き込みます。
この過程が加速すると、
「上昇 → 気圧低下 → 風の強化 → 暖湿気の流入 → さらなる上昇」
という正のフィードバックが起こり、短時間で“爆発的”に発達します。
台風との違い
爆弾低気圧と台風は、どちらも強風を伴いますが、成り立ちが異なります。
- 台風:暖かい海をエネルギー源とする熱帯低気圧
- 爆弾低気圧:温度差と上空の風をエネルギー源とする温帯低気圧
台風は夏から秋に多く、爆弾低気圧は主に冬から春先にかけて発生します。また、爆弾低気圧は広範囲に強風や大雪をもたらすのが特徴です。
日本で多発する理由
日本は中緯度に位置し、
- シベリアからの寒気
- 太平洋側からの暖湿気
- 強い偏西風
という条件が重なりやすい地域です。さらに、日本海や太平洋の暖流がエネルギー供給源となり、爆弾低気圧が発達しやすい環境が整っています。
もたらす主な被害
爆弾低気圧は、
- 台風並みの暴風
- 日本海側の猛吹雪・吹きだまり
- 太平洋側の高波・高潮
- 交通機関の大規模乱れ
など、季節外れの災害を引き起こします。

まとめ
爆弾低気圧は、強い温度差・上空のジェット気流・暖かい海という複数の要因が同時に重なったときに発生します。短時間で急激に発達するため、被害が拡大しやすいのが最大の特徴です。
その仕組みを理解することは、天気予報への注意や早めの備えにつながります。爆弾低気圧は「冬の台風」とも言われますが、成り立ちを知ることで、その危険性をより正しく捉えることができるでしょう。


