大規模災害が発生すると、鉄道やバスが停止し、移動手段として真っ先に思い浮かぶのがタクシーです。しかし実際には、災害時ほど「タクシーが全くつかまらない」「配車アプリが機能しない」という状況が頻発します。これは偶然ではなく、災害時のタクシー不足は構造的に起こる必然的な問題です。ここでは、その理由、実際に起きた影響、そして現実的な対策について2000文字程度で詳しく解説します。

災害時にタクシーが不足する根本原因
① 需要が一気に集中する
鉄道やバスが止まると、数万人から数十万人が同時にタクシーを求めます。一方、都市部でも稼働できるタクシー台数には限りがあり、需要と供給の差が瞬時に崩壊します。
② ドライバー自身も被災者
タクシー運転手も生活者です。
・自宅や家族の安否確認
・自宅への帰宅困難
・余震や二次災害への恐怖
こうした理由から、出勤できない、あるいは営業を中止するケースが多く、稼働台数が大幅に減少します。
③ 道路事情の悪化
災害時は、
・信号停止
・道路冠水
・倒木、瓦礫
・事故多発
により、タクシーが「動きたくても動けない」状態になります。結果として、空車があっても配車できません。
④ 燃料不足
ガソリンスタンドの停電や供給停止により、燃料確保ができず、営業を断念する事業者も少なくありません。
実際に起きた事例(東日本大震災など)
東日本大震災発生当日、首都圏ではタクシー乗り場に長蛇の列ができ、数時間待っても乗れない人が続出しました。
・配車アプリがパンク
・電話がつながらない
・深夜になっても空車なし
結果として、多くの人が徒歩での帰宅を選択し、疲労や低体温症などの健康被害が発生しました。
タクシー不足が引き起こす二次被害
タクシー不足は単なる不便にとどまりません。
・高齢者、妊産婦、障害者が移動できない
・病院受診や薬の確保が遅れる
・無理な徒歩移動による事故
本来タクシーを必要とする人ほど、利用できないという深刻な逆転現象が起こります。
災害時にタクシーを「当てにしてはいけない」理由
平時の感覚で、
「タクシーなら何とかなる」
「最悪アプリで呼べばいい」
と考えるのは非常に危険です。災害時のタクシーは、公共インフラではなく、極めて限定的な資源に変わります。
自治体・業界の対策と限界
① 災害対応タクシー
一部自治体では、
・要配慮者優先
・医療搬送
・福祉輸送
を目的とした災害対応タクシーの制度がありますが、台数は限られています。
② 相乗り・定額運行
相乗りや定額制の試みもありますが、混乱時には調整が難しく、即効性には限界があります。
個人が取るべき現実的な対策
① タクシー前提で行動しない
帰宅計画・避難計画において、タクシーを前提にしないことが最重要です。
② 職場・学校での待機を基本とする
無理に移動しなければ、タクシーを必要とする人に資源が回ります。
③ 代替手段を複数想定する
・徒歩(短距離)
・自転車
・一時滞在施設
を組み合わせた現実的な計画を立てます。
④ 相乗りの事前ルール
同僚・知人と「いざという時は相乗り」「途中まで一緒に移動」といったルールを決めておくと、判断が早くなります。
タクシー利用が許容されるケース
災害時でも、以下の場合はタクシー利用が妥当です。
・高齢者や障害者の移動
・乳幼児連れ
・医療上の理由がある場合
健常者が長距離移動に使うことは、社会全体のリスクを高める行動になります。
今後の課題と展望
今後は、
・自治体とタクシー業界の連携強化
・要配慮者優先ルールの明確化
・燃料供給の優先枠
などが求められますが、即座に解決できる問題ではありません。

まとめ
災害時のタクシー不足は、避けられない現実です。
だからこそ重要なのは、
・「使えたらラッキー」程度に考える
・本当に必要な人に譲る
・移動しない選択を恐れない
という意識です。
タクシーは最後の切り札ではありません。
災害時に命を守る行動とは、「どう移動するか」よりも「いつ動かないか」を正しく判断することなのです。


