子どもが毎日利用する通学路は、最も身近でありながら災害時・事故時に大きな危険が潜む場所です。しかし現実には、「危険箇所を十分に把握できていない」「把握していても対策が進んでいない」という課題が各地で見られます。地震・豪雨・大雪・強風、さらには交通事故や不審者事案まで含めると、通学路の危険は多岐にわたります。ここでは、通学路の危険箇所把握不足がもたらす問題点を整理し、学校・家庭・地域が連携して行うべき具体的な対処策を解説します。

通学路の危険箇所把握不足がもたらす問題
① 災害時の被害拡大
地震時のブロック塀倒壊、豪雨時の側溝増水、積雪時の屋根雪落下など、通学路には災害特有の危険が集中します。危険箇所が把握されていないと、子どもが回避行動を取れず、被害に直結します。
② 日常的な事故リスクの見逃し
災害時だけでなく、
・見通しの悪い交差点
・交通量の多い道路
・歩道の狭さ
といった日常的リスクも、把握不足のまま放置されがちです。
③ 学校・家庭・地域の認識のズレ
学校が把握している危険と、保護者・地域住民が感じている危険が一致していないことも多く、責任の所在が曖昧になります。
なぜ危険箇所把握が不十分になりやすいのか
① 定期的な見直しが行われていない
通学路は、
・工事
・空き家増加
・店舗閉鎖
などにより環境が変化します。しかし、危険箇所の点検が年度初めだけで終わるケースも少なくありません。
② 災害視点が不足している
多くの点検は交通安全が中心で、
・地震
・水害
・積雪
といった災害時視点が抜け落ちていることがあります。
③ 子どもの目線が反映されていない
大人が安全だと思う場所でも、子どもにとっては
・視界が遮られる
・背丈的に危険
というケースがあります。
対処策① 通学路危険箇所の「見える化」
① 危険箇所マップの作成
学校・PTA・地域が協力し、
・倒壊の恐れがあるブロック塀
・冠水しやすい道路
・暗くなる場所
を地図に落とし込みます。紙+デジタル両方で共有すると効果的です。
② 災害別の色分け表示
「地震時」「豪雨時」「積雪時」など、災害ごとに色分けすることで、状況に応じた注意点が分かりやすくなります。
対処策② 定期的な現地確認の実施
① 年1回では不十分
最低でも、
・新学期前
・梅雨前
・冬季前
など、季節ごとの点検が望まれます。
② 実際に歩いて確認する
机上の確認だけでなく、子どもと一緒に歩くことで見落としが減ります。
対処策③ 子どもへの具体的な指導
① 「ここが危険」と理由まで伝える
「気をつけなさい」ではなく、
・なぜ危険か
・どう行動すべきか
を具体的に教えます。
② 災害時の想定訓練
「この道で地震が起きたらどうする?」といった想像力を育てる訓練が重要です。
対処策④ 学校と家庭の情報共有強化
① 危険情報の即時共有
保護者や地域からの情報を、
・連絡アプリ
・掲示板
などで迅速に共有します。
② 「気づいた人が伝える」仕組み
危険を見つけたら誰でも報告できる体制を整えます。
対処策⑤ 地域・行政との連携
① 行政への要望・改善提案
危険箇所は、
・ガードレール設置
・ミラー設置
・補修
など、行政対応が必要なケースも多くあります。
② 見守り活動の活用
地域の見守り隊や自治会と連携し、日常的な目を増やします。
災害時を想定した通学路代替ルートの検討
災害時に通学路が使えなくなる可能性を想定し、
・予備ルート
・一時避難場所
を事前に決めておくことが重要です。
家庭でできる具体的な取り組み
・親子で通学路を歩く
・「危険だと思った場所」を話し合う
・天候別に注意点を確認する
これだけでも、把握不足は大きく改善します。

まとめ
通学路の危険箇所把握不足は、
「知らなかった」では済まされないリスクです。
・見える化
・定期点検
・子ども目線
・学校・家庭・地域・行政の連携
これらを重ねることで、通学路の安全性は確実に高まります。
災害はいつ起きるか分かりません。しかし、
危険を知り、共有し、行動に移すことは今すぐにでもできます。
「毎日通る道だからこそ、最も丁寧に守る」
その意識が、子どもの命を守る最大の防災対策となるのです。


