大規模災害後にやむを得ず夜間に徒歩で帰宅する状況は、昼間以上に危険が増します。停電による暗闇、信号停止、建物や道路の損壊、疲労の蓄積などが重なり、判断ミスや事故につながりやすくなります。ここでは、夜間帰宅時の視界不良がもたらすリスクと、それに対する現実的な対応策を、事前準備・行動中・緊急時に分けて詳しく解説します。

夜間帰宅が特に危険な理由
夜間の徒歩帰宅では、以下のような複合的リスクが発生します。
・停電により街灯や信号が消え、ほぼ真っ暗になる
・道路の亀裂、段差、瓦礫が見えにくい
・倒壊の危険がある建物やブロック塀を避けにくい
・車や自転車から歩行者が認識されにくい
・疲労や寒さで判断力が低下する
これらが重なることで、転倒・落下・接触事故の危険が昼間より格段に高まります。
事前に準備しておくべき対策
① 照明の確保(命を守る最重要装備)
夜間行動では「自分が見る光」と「自分を見せる光」の両方が必要です。
・懐中電灯(ヘッドライト型が理想)
・スマートフォン用の小型ライト
・予備電池・モバイルバッテリー
ヘッドライトは両手が空くため、瓦礫を越える場面で特に有効です。
② 反射材・明るい服装
車両との事故防止のために、以下を身につけます。
・反射テープ
・反射リストバンド
・リュックに反射材を装着
夜間は「見えているつもり」でも、運転者からは見えていないことが多いと認識することが重要です。
③ 帰宅ルートの事前確認
昼間とは異なり、夜間は遠回りでも安全な大通りを選ぶ方が良い場合があります。
・橋・河川沿い・崖下は避ける
・古い住宅密集地は極力回避
・街灯のある道路を優先
夜間徒歩帰宅中の行動ポイント
① 無理に急がない
暗闇では小さな段差でも大きな事故になります。
「急ぐより安全」を最優先し、歩幅を小さく保ちます。
② 建物から距離を取る
余震で外壁・看板・ガラスが落下する可能性があります。
夜間は特に落下物に気づきにくいため、建物沿いを避けて歩きます。
③ 一人にならない
可能であれば、複数人で行動します。
声を掛け合うことで、危険への気づきや体調変化にも対応できます。
視界不良時に起こりやすい事故と対処
転倒・負傷
・無理に歩かず、安全な場所で休憩
・出血があれば圧迫止血
・歩行困難な場合はその場に留まる判断も必要
道に迷った場合
・無理に進まず、GPSや地図アプリを活用
・バッテリー節約のため画面点灯時間を短くする
・コンビニや公共施設の明かりを目印にする
「帰らない判断」も命を守る選択
夜間・長距離・悪天候が重なる場合、無理に帰宅しないことが最善の判断になることもあります。
・職場や指定避難所で一夜を過ごす
・自治体の帰宅困難者支援施設を利用
・体調異変を感じたら即中断
「帰ること」より「生き延びること」を優先する意識が重要です。

夜間帰宅対策は日常防災の延長
夜間の視界不良対策は、特別なものではありません。
日頃からライト・反射材・ルート確認を習慣化しておくことで、災害時の安全性は大きく向上します。
暗闇の中での一歩一歩が、命を左右します。
「見えない危険を前提に行動する」ことこそが、夜間帰宅時の最大の防災対策です。


