駅構内での将棋倒し事故は、地震や火災、停電、列車トラブルなど非常時に発生しやすく、短時間で多数の死傷者を生む極めて危険な二次災害です。特に日本の都市部の駅は利用者が多く、階段・改札・ホームといった構造上のボトルネックが多いため、正しい知識と行動が命を左右します。ここでは、将棋倒しが起こる仕組みを踏まえたうえで、個人が取るべき対処策と事前に意識すべき予防行動を詳しく解説します。

駅構内で将棋倒しが起こる原因
将棋倒しは「人が押し合うこと」そのものより、恐怖と情報不足による集団心理が引き金となります。
主な原因は以下の通りです。
・地震や火災で「早く逃げなければ」という焦り
・非常放送が聞き取れない、情報が錯綜する
・改札口、階段、エスカレーターに人が集中する
・後方の人が前方の状況を把握できず押してしまう
人が密集した状態で一人が転倒すると、その上に次々と人が倒れ込み、呼吸ができない圧迫状態が発生します。これが最も致命的です。
将棋倒しを防ぐために個人が取るべき行動
① 絶対に「走らない・押さない」
非常時ほど、走らないことが最大の防御策です。走る人が一人でも出ると、周囲がパニックになり連鎖的に転倒が起こります。歩く速度を意識的に落とし、前の人との距離を保ちます。
② 階段・改札で立ち止まらない
階段や改札付近は最も危険な場所です。
・スマートフォンを操作しない
・立ち止まって考え込まない
・荷物を拾おうとしない
「流れに逆らわず、しかし押さずに進む」ことが重要です。
③ 転倒しそうになったら体勢を低く
押されてバランスを崩した場合、無理に立ち続けようとすると大きな転倒につながります。
・膝を軽く曲げる
・重心を低くする
・手すりや壁に体を寄せる
これにより連鎖転倒を防げる可能性があります。
万一、将棋倒しに巻き込まれた場合の対処策
① 倒れたら「うつ伏せ」にならない
倒れてしまった場合、うつ伏せは最も危険です。胸が圧迫され呼吸困難になります。
可能であれば、**横向き(回復体位)**になり、膝を軽く曲げて体を守ります。
② 頭と胸を守る
両腕で頭と首を覆うようにし、胸部に直接体重がかからない姿勢を取ります。バッグなどがあれば胸の前に置くことで圧迫を和らげられます。
③ 声を出すタイミング
無理に大声を出し続けると酸素を消耗します。
・人の流れが止まった瞬間
・圧迫が緩んだ瞬間
このタイミングで「人が倒れています」「止まってください」と短く明確に伝えます。
周囲に倒れた人がいる場合の行動
・無理に引き上げようとしない
・周囲に「止まってください」と合図を出す
・駅員や警備員に即時知らせる
一人を助けようとして無理な行動を取ると、さらに倒れる人が増えるため、まず流れを止めることが最優先です。
将棋倒しを防ぐための心構え
将棋倒し事故の多くは「自分は大丈夫」という油断から起こります。
非常時に最も重要なのは、
「早く逃げる」より「安全に動く」意識です。
駅構内では、
・非常放送をよく聞く
・駅員の指示に従う
・人の流れを冷静に観察する
これらを常に意識することで、将棋倒しという最悪の事態を回避できます。

日常からできる備え
普段から、
・利用駅の非常口や広い通路を把握する
・混雑時間帯の危険ポイントを知る
・非常時は「走らない」と家族で共有する
こうした小さな備えが、命を守る大きな差になります。
駅構内での将棋倒しは「運の事故」ではありません。知識と冷静な行動で防げる災害です。非常時こそ落ち着き、自分と周囲の命を守る行動を心がけましょう。


