豪雪地帯を中心に、屋根雪おろし中の転落事故は毎年のように発生しており、死亡や重傷に直結する非常に危険な作業です。多くの事故は「慣れ」や「油断」、そして不十分な装備によって起きています。ここでは、屋根雪おろし作業に伴う転落事故を防ぐための具体的な防止策を、準備段階から作業中、判断基準まで含めて詳しく解説します。

なぜ屋根雪おろしは危険なのか
屋根の上は、
・雪と氷で極端に滑りやすい
・積雪により屋根の端が見えない
・雪の下に段差・破損箇所が隠れている
・強風や視界不良が起きやすい
といった複数の危険要因が重なります。さらに、雪の重みで体勢を崩しやすく、一度滑ると止まれないのが転落事故の特徴です。
作業前に必ず行う防止策(最重要)
① 単独作業は絶対にしない
屋根雪おろしは必ず2人以上で行います。
一人が屋根上で作業し、もう一人が地上で監視・補助・緊急連絡を担当します。万一転落した場合、即座に救助要請ができる体制が不可欠です。
② 天候・時間帯の見極め
・吹雪、強風、霧がある日は中止
・日中の視界が良い時間帯に行う
・気温上昇による雪の緩みも考慮
「今日やらなければならない」より「安全にできるか」を優先します。
③ 命綱(安全ロープ)の設置
転落防止の要となるのが命綱です。
・屋根の反対側や柱など強度のある場所に固定
・ハーネスや胴ベルトと確実に連結
・ロープの長さは屋根の端まで届かない設定
命綱なしでの作業は極めて危険です。
正しい装備で事故を防ぐ
① 滑りにくい装備
・滑り止め付き長靴
・アイゼンや簡易スパイク
・防寒性と動きやすさを両立した服装
② ヘルメット・保護具
・ヘルメット(転倒・落下物対策)
・防水手袋
・ゴーグル(雪や氷の飛散防止)
軽装での作業は事故リスクを高めます。
作業中に守るべき基本動作
① 屋根の端に近づきすぎない
積雪により屋根の縁が分からなくなるため、定期的に位置を確認します。
端から最低1m以上離れて作業するのが基本です。
② 雪を一気に落とさない
大量の雪を一度に落とすと、反動で体勢を崩す危険があります。
少量ずつ、常に安定した姿勢で作業します。
③ 下の安全確認を徹底
雪を落とす前に、必ず「落とします!」と声掛けをし、地上の安全を確認します。
高齢者・無理を感じた場合の判断
屋根雪おろし事故では、高齢者の被害が特に多く見られます。
・体力に不安がある
・バランス感覚が低下している
・過去に転倒経験がある
このような場合は、無理をせず専門業者や自治体の除雪支援制度を利用することが、最も確実な事故防止策です。

「慣れ」と「自己判断」が最大の敵
長年続けてきた作業ほど、危険を軽視しがちです。しかし屋根雪おろしは、毎回条件が異なる命に関わる作業です。
「去年は大丈夫だった」ではなく、「今日も安全か」を基準に判断し、装備・人員・環境を整えることが、転落事故を防ぐ最大のポイントです。
命を守る選択を、何よりも優先してください。


