地震発生時、本棚や食器棚の転倒による事故は、住宅内被害の中でも特に多く、重傷や死亡事故につながる危険性が高いものです。書籍や食器は重量があり、割れ物も多いため、転倒・落下・飛散が同時に起こりやすいという特徴があります。ここでは、実際にケガをした場合の対処法と、事故を防ぐための具体的な予防策を体系的に解説します。

本棚・食器棚の転倒事故によるケガへの対処法
① 揺れが収まった直後の行動
まずは無理に動かず、余震や二次災害の危険を確認します。本棚や食器棚は半倒壊状態で止まっていることも多く、近づくと再転倒する恐れがあります。床にはガラス片や割れた食器、落下した本が散乱しているため、素足での移動は厳禁です。靴やスリッパがなければ、タオルや衣類を足に巻いて移動します。
② 切り傷・裂傷への応急処置
食器棚の転倒では、割れたガラスや陶器による切り傷が多発します。出血がある場合は、清潔な布やガーゼで直接圧迫止血を行います。出血が多い場合でも、布を外さず重ねて圧迫を続けます。傷が深い、異物が刺さっている場合は、無理に取り除かず、そのまま固定して医療支援を待ちます。
③ 打撲・骨折・挟まれ事故への対応
本棚や食器棚は重量があるため、下敷きになった場合は骨折や内臓損傷の危険があります。強い痛み、腫れ、変形、しびれがある場合は、患部を動かさず固定します。家具に挟まれている場合、無理に引き抜こうとせず、周囲の人と協力して安全を確保したうえで救助を行います。
④ 頭部・顔面のケガへの注意
高い位置から本や食器が落下すると、頭部や顔面を直撃することがあります。意識がもうろうとする、吐き気、めまいがある場合は、外傷が軽く見えても頭部外傷を疑い、安静を保つことが重要です。
本棚・食器棚の転倒事故を防ぐための予防策
① 家具配置の基本原則
本棚や食器棚は、寝室や子ども部屋に置かないことが理想です。やむを得ず設置する場合は、ベッドや布団、よく座る場所に倒れてこない位置を選びます。出入口や避難経路を塞ぐ配置も避けましょう。
② 確実な固定対策
転倒防止の基本は固定です。L字金具、耐震ベルト、突っ張り棒などを使い、壁や天井にしっかり固定します。重要なのは、石膏ボードではなく柱や間柱など下地に固定することです。賃貸住宅では、穴を開けずに使える粘着式や突っ張り式の耐震器具を活用します。
③ 扉・中身の落下防止
食器棚には耐震ラッチを取り付け、揺れで扉が開かないようにします。食器は重い物を下段に、割れやすい物は滑り止めシートを敷いて収納します。本棚では、重い本を下段に配置し、棚板に落下防止バーを設置すると効果的です。
④ ガラス飛散・破損対策
食器棚やガラス扉には飛散防止フィルムを貼ることで、割れても破片が飛び散りにくくなり、切り傷のリスクを大幅に減らせます。
⑤ 日常の小さな備え
地震直後のケガを防ぐため、棚の近くや寝室には底の厚いスリッパや靴を常備します。懐中電灯を近くに置くことで、暗闇でも安全に行動できます。

「倒れる前提」で考える防災意識
本棚や食器棚は「倒れないだろう」と思われがちですが、強い揺れでは想像以上に簡単に倒れます。重要なのは、「もし今この家具が倒れたら、誰がどこでケガをするか」を具体的に想像し、配置と固定を見直すことです。
一つひとつの備えが、地震時の重大事故を防ぎ、家族の命を守る確かな力となります。


