災害時に備えて用意される非常食は、命をつなぐ重要な備蓄品ですが、「口に合わない」「気づいたら期限切れになっている」といった問題が多く指摘されています。これらの問題は、非常食の備蓄が形だけになってしまい、いざというときに十分に活用できない原因となっています。

まず、「口に合わない」という問題についてです。非常食は長期保存を前提としているため、乾燥食品やレトルト食品、缶詰などが中心となり、味や食感が日常の食事と大きく異なることがあります。特に、普段から薄味や特定の食材を好む人、高齢者や子どもにとっては、非常食の味が受け入れにくい場合があります。また、災害時はストレスや不安が強く、食欲が低下しやすいため、さらに「食べにくい」「おいしく感じない」と感じてしまう傾向があります。その結果、非常食があっても食べる量が減り、体力の低下につながるおそれがあります。
次に、「期限切れになる」問題です。非常食は数年単位で保存できるものが多い一方、日常生活の中で目に触れる機会が少なく、保管したまま忘れられてしまうことが少なくありません。特に、押し入れや倉庫の奥などにしまい込んでいる場合、賞味期限を確認する習慣がなく、いざ災害が起きたときに期限切れで食べられないという事態が発生します。これは家庭だけでなく、自治体や施設の備蓄においても問題となることがあります。
これらの問題への対策として注目されているのが「ローリングストック」です。これは、普段の食事で非常食や保存食を定期的に食べ、食べた分だけ新しいものを補充する方法です。日常的に食べ慣れておくことで、「口に合わない」という問題を軽減できるだけでなく、賞味期限切れも防ぐことができます。また、普段から食べている食品であれば、災害時の心理的な負担も軽くなるとされています。
さらに、非常食の内容を見直すことも重要です。近年は、味や種類が豊富な非常食が増えており、和食や洋食、デザート類まで選べるようになっています。家族構成や好みに合わせて複数の種類を備蓄することで、食べやすさが向上します。また、高齢者や乳幼児、アレルギーのある人に配慮した食品を用意しておくことも欠かせません。

このように、災害非常食の「口に合わない」「期限切れになる」という問題は、備え方や意識を少し変えることで改善できます。非常食を特別なものとして遠ざけるのではなく、日常生活の延長として取り入れることが、災害時に本当に役立つ備えにつながると言えるでしょう。


