


令和6年1月1日に発生した能登半島地震は、石川県能登地方を中心に甚大な被害をもたらした。最大震度7を観測したこの地震は、家屋の倒壊や火災、道路や港湾施設の損壊、さらには断水・停電といったライフラインの寸断を引き起こし、地域社会に深刻な影響を及ぼしている。
発災直後から、被災地では自衛隊や消防、警察、医療関係者による懸命な救助・救援活動が行われ、多くの命が救われた。一方で、山間部や半島特有の地形条件により、道路の寸断や集落の孤立が相次ぎ、支援物資や人員の到達が困難な地域も少なくなかった。特に高齢化が進む集落では、避難や情報伝達が大きな課題となった。
現在、被災地では応急復旧から本格的な復興に向けた取り組みが進められている。仮設住宅の整備やみなし仮設の活用により、避難生活の長期化による負担軽減が図られているが、住み慣れた地域を離れざるを得ない住民も多く、心身のストレスやコミュニティの分断が懸念されている。また、住宅再建の目途が立たない世帯や、生活再建に不安を抱える事業者も多く、きめ細かな支援が求められている。
インフラ面では、主要道路や上下水道の復旧が段階的に進んでいるものの、老朽化した施設や地盤の弱さが復旧作業の難しさを増している。特に能登半島は、過疎化と高齢化が進行してきた地域であり、今回の災害は、これまで抱えてきた地域課題を改めて浮き彫りにしたと言える。
産業面に目を向けると、漁業や農業、観光業など、能登の基幹産業も大きな打撃を受けた。港の被害や設備の損壊により操業再開が難しい状況が続く事業者も多く、地域経済の回復には中長期的な視点が不可欠である。観光についても、風評被害を含めた来訪者の減少が課題となっており、復興の進捗を正しく発信する取り組みが重要となっている。
今後の復興においては、単なる原状回復にとどまらず、防災・減災の視点を取り入れた「より安全な地域づくり」が求められる。耐震化の推進や避難体制の見直し、デジタル技術を活用した情報共有の強化など、次の災害に備えた取り組みが不可欠である。また、外部からの支援だけでなく、地域住民が主体となった復興のプロセスを支えることも重要だ。
令和6年能登半島地震は、多くの痛みと課題を残した一方で、地域の絆や支え合いの大切さを改めて示した災害でもある。被災地が再び活力を取り戻すまでには時間を要するが、全国からの継続的な関心と支援が、能登の未来を支える大きな力となるだろう。


